1年次並木祭①
並木祭は、防衛医科大学校の学校祭(文化祭)の事で、毎年10月に行われるNDMC防衛医科大学校の一大イベントである。学生による実行委員会が組織されて、開催される。講演会やライヴや学生による定期演奏会、模擬店等に加えて医学研究センターや看護学科による研究展示等、日頃の学習の成果を発表する場でもある。
今年度の並木祭実行委員には1年生からは8名の志願があり、一兵、セツ菜、山川、良子の4名も含まれていた。その他の72名は模擬店の運営にとりかかった。準備期間は夏休み後からの約2ヶ月間だけだが、先輩達はもう1年前の並木祭の終了後から、準備しているというつわものや、グループもいた。
「結構無茶ぶり振ってくるな。先輩達。特に5年生と6年生。」
「5、6年生はオープン参加じゃねぇの?」
「去年まで毎年の様に並木祭実行委員会を束ねてた連中が"教官"という形で学年の10%(8人×2学年=16人)も指導するってのが防衛医科大学校の伝統らしい。」
「6年生とか、医師国家資格試験の勉強しなくて良いのかよ?」
「まぁ、俺達まだ1年生だし長い物に巻かれろって感じで良いんじゃない?」
「俺達の他に4人も手をあげるのは、想定外だね。」
「そこ!」
「さっきからペチャクチャおしゃべりしているけどマジでさ、間に合わないわよ?外部の方も沢山来られるんだから、恥かくのだけはやめてよね。」
「では、今年度の並木祭は4年生が中心となって行います。教官(5、6年生)もいますので、下級生は分からない事は教官に聞くように。」
「了解しました!」
「ウワッ。自衛隊ッポイ。」
「1年生は模擬店の管理を2年生と一緒にやる事。3年生は講演会参加者のアポ取りとライヴのゲストの手配を頼む。それから、看護研究展示と医学研究センターの展示管理は4年生が見る事。」
「了解しました!」
「では、1年生と2年生は模擬店の出店舗数と内容の確認を行ってくれ。コンプライアンスの違反がないかどうか審査する。至急よろしく!」
並木祭まであと10日を切っていた。
「16個!?一学年一つじゃねーの?一学年平均4個か…。ま、こんなもんなのか?」
「内容は飲食店が10個、エンターテインメント系6個です。」
「あ、1年生は売り上げの管理はしなくて良いから。売り上げの管理は20歳以上の3年生が行うと校則で決まってるんだ。そやから、模擬店がしっかり運営されているかだけしっかりチェックしておいて。」
「分かりました。」
「並木祭の当日は、並木祭実行委員会の作成したチラシを配りながら、1年生や先輩達の模擬店を巡回してくれ。」
「はい。」
「初めての並木祭で緊張するかもしれないが、皆で協力して並木祭成功させよう!」
「おぉー!」
こうして緊張しまくりの1年生並木祭実行委員8人だったが、あっという間に並木祭当日を迎えた。