5年次並木祭④
「お疲れ様です。」
「ちゃんと宣言通り黒字だったぞ?」
「いやぁ、D-麺びっくりしましたよ。ネット上でもクオリティの高さで美味だったと評判ですよ?」
「はい。売り上げ。500円玉多いけど許せ。」
「あざーす。」
「何とか一山越えたって感じすか?」
「バーカ。まだ10月じゃねーか?気を抜くには早すぎるぞ山ノ井?」
「アメフトのリーグ戦もバシバシ来るだろ?」
「はい。山川先輩?これから食堂で打ち上げなんですけど、参加しませんか?」
「わりぃ、山ノ井。先約があってな。じゃあ。」
「山川先輩なんだって?」
「先約が入ってんだって。」
「そうか。それは残念だな。」
「お待たせ!あれ?大将?うちの学生まだ来てない?」
「予約はPM1900~2100のはずだけど?」
「風呂か~。あいつら一言ゆってくれたら良いのに。大将!今何時?」
「PM1830だけど。先に飲んでれば?」
「そうするよ。大将ビール頂戴。」
「はいよ!生一丁。」
「並木祭凄かったらしいじゃないか?」
「大将の耳にも入ってましたか?」
「D-麺だっけ?ラーメン屋監修の?」
「違いますよ。全部一から作ったんですよ!」
「お陰でこっちのランチは閑古鳥。」
「たかが一杯500円のつけめんを赤字化させない為に、1ヶ月も費やした甲斐はありましたけどね。」
「いらっしゃい。」
「なんだいたのか?先きてんなら言ってくれりゃあ良いのに。」
「何回もTELしたのよ?」
「ああ。スマホは寮に置きっぱなしだった。」
「一兵君に良子ちゃんにセツ菜ちゃん。いつもの仲良し4人組でD-麺即完売のお祝いだね?」
「はい。もう疲れましたよ。昼休憩もまともにとれなかったんですから。」
「つーか?え?山川食べなかったのD-麺。」
「つけ汁の味見はしたし、麺も固さを確認していたから丸々全部は食べなかったよ?」
「そもそも統括マネージャーの俺がわざわざ口を出さなくても、現場の判断に従い黒子に徹したんだ。」
「まぁ、完売したんだし先ずは乾杯しよ?」
「大将。生3つ!」
「じゃあD-麺の完売を祝して、乾杯!」
「思った以上に売れたね?」
「当たり前だろ?GMはこの山川つよし様だぞ?」
「はいはい。俺は指示に従ってただけですう。とても的確な指示でした。」
「味見だって嫌がらず何回もしてくれたしな。」
「俺よりMVPはセツ菜ちゃんだよ。会計係りをしっかりやってくれて、マジ助かった。」
「何?つよし生ビール二杯でもうギブ?」
「疲れたから酒がよく沁みる。」
「SNSでもD-麺トレンドになっていたね。」
「D-麺恐るべし。学園祭レベルでは収まらない規格外のつけめん。」
「規格外ねー。」
「最終的に完成したの並木祭の5日前だったからな。」
「豚骨を白濁するまで煮込むのは手こずったね。」
「チャーシューも豚バラ肉にして正解。麺チームは先湯でしておいてこれも正解。」
「明日からD-麺の呪いから開放されると思うと、本当に嬉しい。言っとくけど来年はやらねーからな?」
「来年はD-チョコよ?」
「チョコレート?」
「それは女子チームに任せるわ。」
「何言ってんのよ?学生生活最後の並木祭。しっかり参加するのよ?」
「はぁ、これがクラスヘッドの宿命か。」
「一兵もチョコ好きだよね?」
「好きだよ?食べるのはね。」
「はぁ、うちの男共は甲斐性無いのかも?」




