5年次並木祭①
夏休みが明け、1ヶ月もすると防衛医科大学校は並木祭ムード一色となって行く。
「定期訓練が無いとリズム狂うよな?」
「まぁな。でもそれだけ熟達してきた証じゃんか?それより今年の並木祭どうする?」
「そうね。最近のトレンドだと5年生は拉麺屋をやるのが多い印象だけど、皆どうする?」
「道具は食堂に行けば揃えてくれるらしいし、今年の並木祭は拉麺屋って事にするか?」
「異議あり!」
「山川?」
「今年はつけめんで勝負する!」
「ちょっと、つよし何言ってんのよ?あんた時間がないの理解してる?」
「1ヶ月あるんだ。名店と大差ないつけめんが出来る。」
「麺もつけ汁も1からやるの?」
「いやcookpadを使う。」
「あのな?山川?たかが学校の文化祭の出展品だぞ?そこまでこだわらなくても?」
「全力で楽しめる並木祭は事実上今年が最後だ。俺は全力で楽しみたい。」
「売れなかったら洒落にならんぞ?ってまたSNSを駆使するつもりか?」
「天下の防衛医科大学校学生が作るつけめん、名付けてD-麺。どう?」
「駄目かな?」
「売れなかった時の責任は覚悟しておけよ?」
「D-麺は絶対売れる。一杯500円とリーズナブル。予算はしっかり並木祭実行委員会に通すからさ。」
「山川の案で良いと思う人は挙手。それ以外は反対って事で。」
「結果が出ました。発表します。75人中賛成65人。反対10人の賛成多数で本案は了承されました。」
「皆、D-麺作るぞ!」
「おう!」
っつう事で、つけめん(D-麺)を作る事になった一兵達防衛医科大学校5年生は、麺の責任者を一兵が。つけ汁の責任者を良子が。そして統括マネージャーを山川つよしが担当する事になった。
「D-麺?良いっすね!山川先輩が考案したんすか?」
「ああ。ナイスなアイデアだろう?そう言う訳で山ちゃん(山ノ井並木祭実行委員長)予算の方ちょっと多めだけど、絶対完売するからさ、頼むよ。」
「え?20万円?」
「200食完売すれば、25万円の売り上げだからさ。」
「分かりました。予備費を活用します。」
「サンキュー!」
「で?どうですか?川下一曹、D-麺のアイデアどうすか?」
「つけめんだろ?面白いんじゃないか?とは言え、普通の拉麺よりは予算かさむんじゃないか?」
「予算は山ノ井並木祭実行委員長に直談判したんで大丈夫です。」
「どうせならcookpadじゃなくて1からやってみれば?」
「そんな時間ありませんよ。」
「麺は一流店の麺を一兵に調達させます。」
「つけ汁はcookpadを参考に魚介濃厚豚骨のWスープに、手作りチャーシューを添えて完成です。」
「どのくらいのクオリティの物が出来るか楽しみだな?」
「試食よろしくお願いしますよ?」
「ああ。俺でよければ。」
「ありがとうございます。」
「つよし?予算いくら計上したの?」
「20万円。」
「足りるの?200食分だよ?」
「ギリギリの黒字額で予算は挙げたつもりだが?」
「まぁ、数字上は500食分用意出来るけど、どうせ失敗するだろうから、200食分なんでしょ?しっかり統括してよね?マネージャー?」
「任せなさい‼」
「不安…。」




