防衛医科大学校学生のお金の事
「夏のボーナスあんなに入金されててビックリしたよ。それに毎月の学生手当ても貯まってくばかり。山川達はお金の管理ってどうしてる?」
「一日の飯代も水道光熱費も被服も学費も、全部税金だろ?やっぱ俺達は選ばれし者だよな。」
「それは私も思う。友人の医大生に聞いたら、奨学金とアルバイト代だけじゃ一人暮らしはしんどいって。学費も親に負担かけてるって言ってた。」
「だから絶対に中退や任官拒否は出来ないよな?」
「ああ。最初は抵抗あったけど寮生活にも慣れてきたし、住めば都でもう体も課業にフィットしだしたしな。」
「分かる。私は仕送りしてるよ。」
「偉いねセツ菜は。」
「私はスマホ代と美容室代を除いては全部貯金しているよ?」
「俺との将来の事もあるしな。」
「それもそうだけど、何がある時代か分からないからね。」
「で、山川と良子さんはいつ結婚するの?」
「3年生になったらを予定してる。」
「一兵とセツ菜ちゃんは?」
「まだ付き合って3ヶ月位だし先の事はまだ決めてない。」
「一兵、ちょっと何よそれ?こっちはしっかり意識しているんだから、そんな事言わないでよ。」
「セツ菜?そんなつもりじゃあ…。」
「一兵は一つ年上だけどまだまだだな。」
「そうね。つよしもたまには的確な事言うじゃない?」
「とにかく、金の心配は要らないんだから勉学と訓練に集中しようぜ?」
「そうだな。」
とは言え、防衛医科大学校を卒業後勤務年限が9年を満たないで離職する場合は、卒業までの経費(約5000万円)を償還しなければならない。と言う決まりがある。これは防衛医科大学校出身者の早期流失を防ぐものであり、防衛大学校の様に任官拒否者を出さない為の狙いもあった。この決まりがある為に防衛医科大学校の任官拒否者はほとんどいない。
「いつもよく食べるわね?」
「痩せの大食いって奴だな。体重俺より10㎏も少ないのに、一兵の奴飯ドカ食い。いくらタダだからって。食い過ぎじゃね?」
「んふ。だってここの飯上手いんだから。」
「そりゃあ調理専門の自衛官が3食作ってるからな。」
「やっぱそうだったんですね?つーかお前らはドカ食いしねーんだから、もっと味わって食えよ?」
「そりゃあこっちのセリフだわ。」
「笑っちゃう位白米が好きなのね?一兵君は?」
「はい。好きっす。」
「今はアメフトしているから良いけど、引退したらセーブした方が良いぞ?」
「その時は考える。でも今は食べる。」
「いつも美味しいご飯をありがとうございます。御馳走様でした。」
「中々そう言ってくれる学生はいないからね。作りて冥利につきるよ。」
「川下ニ曹お電話です。」
「じゃ、またな。よーく味わえよ!」
「御馳走様でーす。」
「あの人川下さんて言うんだ?ニ曹ってどのくらい偉いの?」
「下士官の真ん中よりちょい下じゃね?」
「へぇ。川下ニ曹か…。」




