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防衛医科大学校~知られざる医官(軍医)養成所~NDMC (ナショナル・ディフェンス・メディカル・カレッジ)  作者: 佐久間五十六


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4年次卒業式①

 第2大隊付になって約3ヶ月。今年も並木の学舎に別れを告げる春を迎えていた。

 「馬場先輩、野上先輩卒業と医師国家試験合格おめでとうございます‼」

 「いやぁ、皆医師国家試験合格してホッとしてるよ。卒業とは言え、来月からは陸海空各幹部学校での自衛官としての一歩を踏み出す事になるんだがな。」

 「二尉っすよ?いいなぁ。俺達も2年後そうなれるか心配です。」

 「毎日の課業をしっかりやっていれば、絶対医師国家試験は合格出来るよ。まぁ、頑張れ!」

 「はい!」

 「じゃあ俺らそろそろ行くわ。卒業式行ってくる。」

 「うす。行ってらっしゃいませ。」

 「よーしーなーが?」

 「隠れてもバレバレだぞ?」

 「いや、別に隠れちゃいないけど…。」

 「医学科の6年生に紛れれば、この俺達から逃げ仰せられると思ったか?」

 「いや、だから隠れちゃないって。くるみと別れを惜しんでただけだけど。」

 「友人よりも彼女が大事な気持ち位理解しているけど、サヨナラ位言わせろよ!」

 「そうだぜ、まぁもう良いよ。さぁ卒業式始まるぜ。」

 「おう。ありがとう。じゃあまた後でな。」

 「おう。」

 一兵や山川達にとっては4回目の卒業式だが、回を重ねる毎に我が身に迫るモノがある。国歌斉唱と校歌斉唱を終えると、式辞や弔辞をへて卒業証書授与に入る。マスクなしの卒業式になって久しいが、一兵や山川達在校生はマスクをしっかり着用して式に臨んでいた。

 2025年度第57期生の卒業者は医学科6年生の75名(女子18名)、看護学科の4年生5名の計80名であった。全員が医師国家試験、看護師国家試験に合格してこの日を迎えていた。学長の小難しい話で眠りかける在校生が続出したが、見つかればただでは済まされない。それが分かっている為、お互いに眠らない様に声を掛け合い眠らない様にする、所謂チームプレーだ。80名全員の卒業証書授与まで45分。この間も気を抜くと隙有らば眠ってしまう所である。

 そして、卒業生代表としてクラスヘッドの旧第2大隊長野上先輩が別れの言葉を読む。在校生代表として新第2大隊長上山先輩の答辞でようやく式は終わり、防衛医科大学校名物帽子投げを行う。防衛大学校の帽子投げは有名だが、何故か防衛医科大学校の帽子投げは世間では話題にならない。それが何故かは分からないが、投げた自分の帽子を冷静かつ急いで回収している様子はとてもエモい。

 式はAM1130に終わり、昼食を前にあちらこちらで、写真をスマホに収める辺りは月並みの光景である。

 「おーい!吉永!」

 「なんだよ一兵?」

 「くるみちゃんは?」

 「世話になった先輩の所。」

 「吉永卒業おめでとう‼」

 「何これ?」

 「まぁ、開けてみろよ!」

 「時計?」

 「大したもんじゃねーよ。山川と良子さんとセツ菜と俺で金出し合ったんだ。」

 「お返し無いけど?」

 「そんな事ハナから期待しちゃいないよ。高かったんだからな、大事に使えよ!」

 「あー(泣)ありがとう。」

 「ま、これからは別々の道を歩むけど、防衛医科大学校の同期として胸張って生きて行こう!」

 「お互いにな。」

 「吉永頑張れよ!」

 「山川ありがとう。そういやぁ、良子さんとセツ菜さんの姿が見えないけど?」

 「左門元小梅寮長の所かな?」

 「あ、そっか。」

 「一兵昼飯行こうぜ?」

 「山川?お前よくこの状況で腹の虫を優先させる事が出来るよな?」

 「だってもう挨拶する人、いないだろ?」

 「まぁ、そうだけど。」

 「あれ?吉永が消えた。」

 「あいつには俺達の想い充分伝わったと思うよ?」

 「まぁ、そうだな。」

 「昼飯。」

 「行くか…。」

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