4年次第2大隊付
冬休みが明けると、まだ不慣れな第2大隊付けの生活が本格的に始まった。とは言うものの、起床・就寝時間が少し変わる程度で、特段何かが新しくなると言う事では無かった。
第2大隊付けになって困るのは、夜更かしが出来なくなる事である。第1大隊の時は最大深夜0時まで勉強が出来たが、より自衛隊の生活に則した生活をする為、2200には完全消灯するという厳格なルールが定められていた。起床時間は30分早いAM0600。朝飯の時間は大して変わらないが、部活・倶楽部活動が無い為、外出すると言うオプションも気分転換の為には、必要かもしれない。
最も現場では日勤だけてはなく、夜勤もある。3交代制の現場も多く、医官ならば若いうちは当直も任せられるはずであろう。とは言え、基本的には朝起きて夜は寝る。その健全な平和な毎日を守るのが自衛隊である。
「ま、これでまた大人の階段を登った訳だ。」
「は?つよし何寝ぼけた事言ってんのよ?」
「そうだよ山川。ただ生活する場所と生活スタイルが変わっただけじゃん?」
「防衛医科大学校5年目の抱負を一人ずつ。」
「選酒防衛。お酒を飲みすぎない。」
「良いね。一兵そんな感じ。」
「専守防英。英会話をマスターする。」
「良いね、セツ菜ちゃんらしいよ。」
「選手防衛。一人の防衛医科大学校学生と言うプレーヤーとして頑張る。」
「良子?別に専守防衛に引っかけなくて良いんだけどね?」
「は?この流れならそうなるでしょ?で?つよしの目標は?」
「第2大隊副隊長をしっかり務める‼」
「良いじゃん。それは山川にしか出来ない事だよ?4年連続のクラスヘッドだもん。誰も文句は言わないはず。」
「本当はスマホでゲームしてたりして。」
「良子?それ位は許容してあげて?」
「つよし、ソーローだもんね?」
「それは個人情報だよ?」
「だって事実じゃん?」
「山川君?ソーローって何?」
「エクストラバージンのセツ菜ちゃんは知らなくて良いワードだよ。」
「どうせ一兵はキスすら慌てる男だもんな?」
「バリバリの肉食系男子ですけど何か?」
「言葉だけは勇ましいよね?」
「ま、一兵はそんなもんだ。」
「卒業したらセツ菜ちゃんに教えてやれ。」
「本当?楽しみ。」
「多分その期待を大きく裏切る事になるよ?」
「んー。でも知りたい。」
「セツ菜は私と違って御嬢様だから。」
「一兵?セツ菜ちゃんには俗世間の事も教えてやらなくちゃ駄目だぞ?」
「いやそう言うのは学ぶものだろ?」
「自衛隊の医官は世間知らずなんて、レッテル張られたら、在校生にも迷惑かけてしまうからな。」
「とにかく、第2大隊では夜更かし出来ないから、放課後の時間がキーになるな。」
「第2大隊副隊長だかなんだか知らないけど、人のやり方にケチつけるのは良くないと思う。」
「柔らかく言うと、位が高いからと言って、その人のペースを崩す様な事は言わない方が望ましいと言う事。」
「一兵君の解釈してくれた通り、そう言う事だから5年生になっても、偉そうなつよしを垣間見たら、即座にこの様な突っ込みを入れるからヨロシク!」
「別にそんなつもりじゃねーけど…。」
「それならよろし。」




