外出・外泊許可
「また、ラッパの生活が始まるな?」
「まぁ、こりゃ自衛官の宿命だからな。」
「知っている学生も多いと思うが、平日の外出だけではなく、金曜日のPM1700から日曜の2230
まで許可制ではあるが、週末の外出・外泊が可能になった。だが事前申請を忘れるな!」
「水竹寮長?この様な生活はいつまで続くのでしょうか?」
「4年生の12月まではな。」
「5年生と6年生は第二大隊付けとなり、点呼の時間も違うし、外出・外泊の許可に申請はいらなくなる。まぁ、その頃には医師国家資格試験の勉強で、外出・外泊してる余裕は無くなるんだけどな?」
「って事は明日から週末の外出・外泊が解禁になるのですね?」
「許可がおりればな。」
「早く外出申請を出さなきゃ…。ってアメフト部の練習があるし。でも良子とディナーの約束してるから申請を出さなきゃ!」
「一兵はセツ菜ちゃんと出かけたりしないの?」
「アメフト部の練習以外特にやる事無いしな。それに勉強しねーと。」
「アメフトばっかしてねーで、セツ菜ちゃんをディナーにつれてくとかしないと、いつか別れるぜ?」
「それは俺とセツ菜の問題だろう?山川には関係ないじゃん?」
「ハイハイ。余計なお世話でした。」
「つーか勉強も難しくなって来たのは事実だわ。」
「あーあ。だから俺は週末の外出・外泊許可がおりたとしても、全然嬉しくないの。」
「ま、一兵はあのハイパー進学校明王高校の出身だもんな。」
「いやそれ、関係無いって。出来る奴は一浪なんかしないって。」
「でもしっかり防衛医科大学校に入る地頭あるじゃん。」
「山川だって帝皇大学の推薦蹴って防衛医科大学校に入る地頭あるじゃんか。」
「大体一兵は日夕点呼の後すぐ寝ちゃうから駄目なんだって。俺みたいに消灯(PM2400)のギリギリまで勉強してる奴と差がつくのも無理ないって。」
「アメフトやるとクタクタなんだもん。」
「それは言い訳だぞ一兵。俺もクタクタになるまでアメフトやってるぞ?」
「そうかなぁ。」
「ちゃんと毎日勉強してれば、週末遊べるのに?」
「それに一兵がそんなだと、セツ菜ちゃん他の男にとられちゃうぜ?」
「セツ菜がそれを望むなら引き止めはしない。」
「なーんて、一兵の奴言うんだぜ?」
モグモグ。
「それは一兵君少し無防備過ぎるかもね。」
「良子もそう思うだろ?一浪してるからもっと大人な奴かと思えば、マジで只のアメフトオタクだよ。」
「それは言い過ぎよ?つよしよりアメフト100倍上手いんだから。」
「良子?怒るよ。前期成績トップの俺の方が凄い!」
「自分で言わないでよ?それに2位は私で3位はセツ菜で僅差だったんだからね?」
「ところが一兵の奴は、80人中56位アメフトではエースでも勉強はやる気ゼロ。」
「そんな事無いんじゃない?まぁ、点呼後すぐ寝ちゃうのはネックだけど。」
「良子も何とか言ってやってくれよ。いや、セツ菜ちゃんに言って貰えば一兵もヤル気になるかも知れない。」