4年次引っ越し①
いよいよ第2大隊付けとなるのを前に、約4年程住んでいた桜寮と小梅寮から5、6年の2年間を過ごす第2大隊専用寮"扶桑寮"男女共用への引っ越し作業が始まった。
「え?山川荷物それだけ?」
「男の身の周りは出来るだけ簡素にすべし。って秋山中将も言ってただろ?」
「誰?秋山中将って?」
「坂の上の雲を読め。んなことより、先行くぞ!」
「こんな事なら断捨離早めにするべきだった。山川、手余ってんなら手伝ってよ!」
「はぁ?自分でやれよ?つーか何でこんな要らねーもん、まとめてオフハウス行きだ。」
「山川ありがとう。手伝ってくれるとマジ助かる。ワンカートンおごるわ!」
「あざーす。つーか汚いな。よくこんな状態であったな。さては学生手当ての無駄遣いでもしてたか?」
「いやぁそう言う訳じゃねーんだけどさ。」
「一兵、良いか!こう言う医療系雑誌は、読んだらもったいがらず捨てる勇気を持つ事。どーせ二度三度も読み返す事なんて無いんだから。」
「少年漫画雑誌と理屈は同じだね?」
「そう言う事。分かったら要るものだけ残して他は処分。」
「了解でーす。」
「新聞もこんなに溜めて。勉強熱心なのは構わないけど、溜める癖があるんだな。入学以来隣に居たけど気付かんかったわ。とにかく最小限度の物だけにまとめておけよ!一回小梅寮に行ってくる。戻って来るまでに荷物まとめておけよ!」
「おう。」
「セツ菜早っ!荷物それだけ?」
「うん。私服2着しかないから。」
「山川君?」
「つよし何しに来たのよ?」
「良子の事だ。助けに来た。」
「許可貰ってんの?」
「ああ。つーか何だよこの私服の山は?」
「セツ菜ちゃんも手伝って!」
「うん。」
「1ヶ月に一着って決めてたんだけど、想定外にたまっちゃって。」
「本当に必要な5着。それ以外は処分。」
「断捨離ってこんなにも身を削られる物なのね?」
「30分時間をやる。仕分けろ。」
「セツ菜ちゃん任せた。俺、一兵の方見てくるね?」
「いやぁ出るわ出るわ。おっ!一兵終わった?」
「実はさ、吉永の奴が来てどうせ捨てるなら一読させてくれ。処分は自分がするからって医療系雑誌は全て持って行ってくれたんだ、」
「あいつは3月で卒業だもんな。」
「吉永は第1大隊に残留して、次の第1大隊長が決まるまでは、第1大隊長を兼務するらしいしな。」
「へぇ、そうなんだ。それより山川。こっちは何とかなるから良子さんの所へ行ってあげて。」
「ああ。そうする。」
「セツ菜、後一着だけ。お願い。」
「5着以上詰め込みたみたいだが?」
「駄目よこれ以上は?トランクパンパンじゃない?」
「覚悟は決めたか?」
「つよし、あと一着だけ。」
「全処分って手もあるが?」
「分かった。」
「それでいい。第1大隊長最後の頼みを使う所だった。」
「とかなんとか言って5年生になっても学生長はやるんでしょ?」
「それは防衛医科大学校サイドが決める事だ。それより準備は出来たか?」
「よし、扶桑寮へgo。セツ菜ちゃん行くよ!」
「お!一兵!良いところに。桜寮ありがとう!」
「小梅寮ありがとう!」
こうして一兵達は桜・小梅寮から扶桑寮へ引っ越した。




