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防衛医科大学校~知られざる医官(軍医)養成所~NDMC (ナショナル・ディフェンス・メディカル・カレッジ)  作者: 佐久間五十六


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125/200

4年次海上自衛隊体験入隊(一兵・セツ菜)

 「本日はよろしくお願い致します。」

 この日は一兵とセツ菜等10人の防衛医科大学校海上要員の4年生が海上自衛隊横須賀基地にて1泊2日の体験入隊をする、伝統の進路確認であった。

 「今年は10人か…。」

 「今年度は陸上要員志望者が多く、海上要員は自然減となりました。」

 「君は?」

 「申し遅れました。自分は防衛医科大学校4年医学科第1大隊副隊長の金海一兵と申します。」

 「金海学生。私は横須賀地方総監で海将補の源田弘之だ。よろしくな。」

 「田中二佐、彼等を部屋に案内して教育プログラムを実行しなさい。」

 「はい!分かりました‼」

 「それじゃあ金海学生、夕食の時にまた会おう。」

 「はい!ありがとうございます。」

 と、言われたのもつかの間。たった2日間で海上自衛隊の全て把握させるべく、超詰め込み型教育プログラムが行われ、あっという間に夕方になっていた。だが、一兵は少し嫌な気配がした。

 「セツ菜?」

 「一兵!」

 「夕食一緒に行こう!」

 「うん。シャワー浴びた?」

 「勿論。怒濤の日課だったわね。」

 「ああ。明日は護衛艦への乗船実習もあるからね。」

 「防衛医科大学校学生の方はこちらです。」

 「何だろう?」

 未来の医官の体験入隊が楽しかったと思って貰える様に、海上自衛隊横須賀基地を上げておもてなしをするのがしきたりとなっていた。アルコール飲料も出され、現役の幹部自衛官及び将官とワイワイやった。一兵の悪い予感はあたり、源田弘之海将補とマンツーマンで色々聞かれた。

 「金海グループと言ったら超セレブじゃないか?」

 「医官なんかやめてグループの正式な後継者になった方が良いのでは?」

 「婿入りした時から覚悟は決めてます。しかし、医官として食っていくと決めた以上は、一定期間自衛官に集中しなさいと、父からは言われています。」

 「婿?え?金海学生は学生結婚しているの?」

 「妻のセツ菜です。」

 「これは珍しい。夫婦で防衛医科大学校学生とはな。」

 「大変な道程だとは思うが、医師国家資格取得頑張ってな。人手不足が深刻なんだ。頼むよ!」

 「源田弘之海将補は防衛大学校卒ですか?」

 「ああ。だが入隊したらライバルが沢山いてな。防衛大学校卒なんて何の箔にもならなかったよ。部隊でどれだけ能力を示せるか。それが一番大事だよ?」

 「仕事楽しいですか?」

 「難しい事もあるが、やりがいはあるよ。」

 「米国海軍とも連絡をとっているのですか?」

 「ああ。日本政府の指示があれば調整する事もあるよ。」

 「お、もうこんな時間だ。私は仕事があるのでこれで失礼するよ。」

 「はぁ。超プレッシャー。」

 「一兵、横須賀地方総監のお気に入りになったね?」

 「まだ明日があるからな。飲みすぎるなよ。」

 「田中二佐はどう思います?」

 「何が?」

 「セレブのおしどり夫婦医官。」

 「良いのでは?時代が時代だ。男だろうが女だろうが貧乏人だろうがセレブだろうが、多様性を重んじる自衛隊には必要なピースかもな。」

 何とか1泊2日の海上自衛隊体験入隊を終えた一兵等防衛医科大学校学生(海上要員)は、並木の防衛医科大学校キャンパスに戻って来た。

 「詰め込み過ぎて何一つ頭に残ってねーわ。」

 「スケジュール的にも精一杯だったんじゃない?」

 「かもな。」

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