4年次訓練科目(必修)
一方、訓練課程では訓育11単位、体育一般4単位、部隊実習24単位の計39単位を取得した。
「防衛医科大学校って最初の3年間で詰め込むんだな?」
「そりゃあ医師国家資格取得のためだろ?」
「そうね。学習内容のハードルは高止まりしているし、座学の方にシフトして行くのは自然な流れなんじゃないかな?」
「でも忘れちゃいけないのは、医師である前に自衛官であると言う事だ。」
「そんなの当たり前じゃん?」
「当たり前だけど、その感覚は非常に大事だな。」
「しかも、只の自衛官じゃない。幹部自衛官だ。」
「つよし、何偉そうに言ってんのよ?」
「学生の本分は学業。しかも私達防衛医科大学校学生は日本国民の血税で勉強出来てる。」
「血税…かぁ。そうだね。俺達ノブリス・オブリジェだもんな?」
「何それ?」
「フランス語で選ばれし者の責務を意味する。防衛大学校にいる友達がそんな事言ってたな。」
「一兵って顔が広いのね?そんなの初耳だけど?」
「セツ菜にも俺の交遊関係の事は話していなかったからね。」
「お互い様だね。」
「山川と良子さんは、小学校から全部同じ学校だったからお互いの交遊関係まで把握しているんだよね?」
「うん。まぁね。でもたかが知れているわよ?」
「山川なら友達が沢山いそうだけど?」
「そうでもないわよ?つよしの奴いじめられっ子だったし。私は強くなりたいと言うつよしの意思を買って、同じ防衛医科大学校に進学したの。実際つよしは強くなった。」
「良子?そんな昔の話するなよ!」
「山川がいじめられっ子?にわかに信じがたい。」
「でも自衛官を目指す動機としてはベタだな。」
「良子には何度も助けられたよ。毎日リンチされてボコられても、良子は優しかった。そんな経験もあり、高校時代はほとんど交友が無かった。良子とだけ未来を語り合ってた。二人で防衛医科大学校に行くって決めた日から、毎日勉強漬け。予備校に行く金も無かったから、良子とタッグを組んで対防衛医科大学校入試対策を取った。強い医者って格好良いなって思っていたけど、いざ合格をしかも良子も一緒に何て夢見心地だった。良子には別の選択肢もあったけど、つよしには私が必要と言ってずっと励ましてくれた。それが心強くて、自然とエネルギーに満ち溢れ活力の元となった。本当の俺は防衛医科大学校学生時代に開花したんだ。親友とパートナーに支えられて。」
「今頃気付いたの?」
「そうよ。そう言うのは今話す事じゃないわ。」
「まぁ、この通りガラスのハートの持ち主だからこんな身の上話本当に信頼してる人にしか話さないよ。」
「そんな過去が山川君に?信じられない?」
「私もこのつよしの変わりっぷりは信じられない。」
「まぁ、これからも仲良く頼むわ。」
「じゃあ今度は一兵の身の上話を聞かなくちゃな。なーんてな。」
「良子?越えちゃいけないラインもあるんだぞ?」
「分かってるわよ。つよし、ソーローの癖に。」
「それ今言う?」
「仲良いね。何だかんだ言っても。まぁ、俺とセツ菜だってそうだよね?」
「うん。そうだね!」




