4年次アメフト部有終の美
防衛医科大学校アメフト部は関東医科歯科リーグ参入2年目のシーズンに優勝をかけて、リーグ戦を戦った。しかし、結果は4勝3敗で4位という結果に終わった。
「キャプテン!こんな結果ですみません。」
「山ノ井、気にするな!去年は1勝しか出来なかったブラッサムズが4勝も出来たんだ。凄い成長じゃないか?俺達4年生はこれで引退だが、アメフト部としての4年間の活動に悔いはない。同好会からスタートした防衛医科大学校アメフト部を関東医科歯科リーグ参入レベルまで持って行けたのが俺達4年生の手柄だな。新チームのキャプテンは残った3年生以下で話し合って決めるんだ。頼んだぞ!山ノ井。」
「オス!」
「俺からも一言良いか?」
「山川?」
「一兵、俺をラインバッカーにしてくれてありがとう。滅茶苦茶楽しかったぜ!」
「私からも一言良いかな?」
「セツ菜?」
「私と良子をマネージャーにしてくれてありがとう!」
「私もってセツ菜に言われちゃった。」
「セツ菜、良子さんいつもありがとうございました。」
「では、このチームはこれで解散だ。皆ハドル!1、2、3、GOブラッサムズ!」
こうして、一兵達の球春は幕を閉じた。きっとこの経験が活きる日が来る事を一兵達は信じている。それから1週間後…。新キャプテンには山ノ井が就任して新体制をスタートさせた。
「なぁーんか、寂しいつーかわびしいつーか。」
「一兵の奴、アメフトやりたくてウズウズしてるよ?」
「試合には出られないけどコーチをするとか?」
「駄目駄目。医師国家資格を取得するまては勉学に集中しないと!」
「山川君の言う通りだわ。アメフトも何もかも試験に合格するまでは御預けよ。」
「セツ菜もそう言う事言う?」
「一兵君?有終の美を飾ったんだから、キッパリ現役を引退しなさい。」
「3人とも、ちょっと気が早いよ?」
「いーや早くない。」
「もう4年生の12月よ?しっかり現実を見て!」
「一兵君にとっては青春の1ページに過ぎないのかもしれないけど、医官になれなくちゃここまでの努力は全て無駄になってしまうのよ?」
「確かにそれは駄目だね。」
「実際、これから第2大隊付けになるのは、より勉学に集中して自衛隊の生活に慣れる為の措置だろ?」
「まだ2年あると考えるか、もう2年しかないと考えるかは一兵の自由だけど、医官になれなきゃ、俺達の将来は真っ暗なんだぞ?」
「よし分かった!皆がそう言うなら俺は医官になるまではアメフト封印する。」
「下手に怪我でもしてみろ?まともに勉強出来ないぞ?」
「つよし?一兵君もう分かってるよ。」
「そうだよ!一兵怪我なんかしたら本当大変だよ?」
「皆ありがとう。俺の事思って言ってくれてるんだね?」
「お互い様だろうが?このアメフト馬鹿。」
「ここだけの話な、俺は実は防衛医科大学校でアメフトする気は、無かったんだ。けど山川達に出会い、もう一度夢を見たいと思って、またあの楕円形のボールの虜になってしまったんだ。」
「そうだったの?」
「ああ。アメフトなんて日本じゃマイナースポーツだからね。」
「学生を卒業したらほとんどのプレーヤーは競技を離れるからね。社会人になってもプレーを続けられるのはほんの一握り。まぁ、これで俺のプレーヤー生命は一区切りついたかと、冷静に考えると、妙にスッキリした気分にもなるよ。」
「一兵?きっと山ノ井達が新生ブラッサムズを頂きに持って行ってくれるさ!」
「そうか?」
「ああ。」




