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防衛医科大学校~知られざる医官(軍医)養成所~NDMC (ナショナル・ディフェンス・メディカル・カレッジ)  作者: 佐久間五十六


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4年次創立記念日

 沢山あった秋の行事ラッシュもこの創立記念日で一区切りとなる。それはいよいよ医師国家試験に専念する事を意味していた。

 「毎年思ってたんだけどさ、この創立記念式要らなくない?」

 「一兵?こう言う所でそう言うジョーク笑えないよ?」

 「ああ、つよし。ここでも挨拶が…。」

 「結構俺マジなんだけど?」

 「良いじゃない。学校の誕生を祝う気持ちは正直エモいって思うけどな。」

 「一兵君もセツ菜もつよしの挨拶しっかり聞きなさないよ?エモいかエモくないかは別にして。」

 「山川君のスピーチは超エモい。」

 と、まぁくだらない話をしていたら、あっという間に第52回目の防衛医科大学校創立記念日による式典が始まった。山川の出番は式後半の学生代表スピーチである。と、防衛医科大学校では当たり前なのだが、学生が眠らないように学生は起立したまま直立不動で式に臨む。山川つよしの出番は…まだである。

 秋深く肌寒い季節になってきた為、会場である体育館の気温は思ったほど上がらない。しかし、学生の血湧き肉踊るスピーチを山川つよしは用意していたのであった。医学科部長の挨拶が終わり残すは山川つよしのスピーチのみとなった。

 「諸君!」

 と、冒頭から退屈していた学生の心を掴むと所謂"つよし節"が炸裂した。

 「一体どれだけの防衛医科大学校学生がこの学校から陸海空各自衛隊に配置されたかを考えた事はあるか?その数3680名(在校生除く)だ。防衛大学校に比すれば、数は少ない。しかし、これだけの諸先輩方の努力とたゆまぬ歩みがあったからこそ、医官と言うポジションが自衛隊内部で確立されていったのである。この創立記念日は只のセレモニーではない。在校生が諸先輩方の努力を称える日である。早く終わらないか。そう言う気持ちは分からなくもない。自分もこの様な立場で無ければ1秒たりとも早く立ち去りたい。しかし、私は防衛医科大学校第1大隊長として、言っておかなけれぱならない事が山ほどある。とまぁ、そんな事は神がかった入試倍率を突破してきた君達ならばいずれ分かる事である。とりあえず防衛医科大学校創立記念おめでとう。」

 「以上かよ!?ったく今年の第1大隊長はスッテンコロリだな。」

 「でも掴みは悪く無かったですよ?」

 「確かにな。聞いて飽きるスピーチではなかったな。」

 「つよしの奴ガッツポーズしているわよ?呆れた。ヘンテコなスピーチしておいて100%満足しているってのもよく分かんないけど、炎上しなきゃ良いけど?」

 「誰かをディスった訳じゃないし、言いたい事言えたから良いんじゃない?」

 「良子?山川君は頑張ったよ?」

 と、まぁ賛否両論あるが、山川つよし第1大隊長のスピーチは後輩に"つよしのスピーチ"として記憶される事になる。

 「ああ。こう言うスピーチは何回やっても緊張しちゃうな。」

 「掴みは悪く無かったよ?」

 「マジ?」

 「後半はかなりグダついたけどね(笑)。」

 「でもこの経験は山川君にしか得られない、人生の糧になると思うよ?」

 「そう言う優しい言葉をかけてくれるのは、セツ菜ちゃんだけだよ。ありがとう。」

 「セツ菜?駄目よ?つよしを甘やかすとろくでもない事しか起きないんだから。」

 「50点だろうが100点だろうが何だかんだで第1大隊長の責務は果たしたろ?」

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