4年次並木祭①
2025年度の並木祭実行委員長は全会一致で、山川つよし第1大隊長が就任した。副委員長は金海一兵が就く事になった。
「今年こそ並木祭を楽しめるな?」
「ああ。実行委員長も副委員長も名ばかりだからな。でも良子さんやセツ菜はライヴの最高責任者に推薦されちゃったから、ライヴが終わるまでは…。だな。」
「何だか不服そうだな?」
「いや、山川と二人でサシで行動した事は無かったなって。」
「飯の時も部活の時も二人の鬼嫁がいるからな。」
「誰が鬼嫁だって?」
「良子いたのかよ?」
「良いわね?並木祭実行委員長はお暇な様で?」
「予算に目を通す位だからな。生憎手持ち無沙汰だ。」
「セツ菜?今年はあくまで推薦だから断っていいんだよ?」
「やーだょ。人生一度きりの事実上最後の並木祭だからここは、頑張らなくちゃ。」
「で?招待するアーティストの選定は?」
「まだ何も決まってない。それにこれから1年~3年生の実行委員の中で有望株をしなくちゃ。今はその段階。」
「そうだね!まずは足場固めをしないとね。って言うか、セツ菜やる気満々じゃない?つよし?あんたも見習いなさいよ?」
「スカウトって…。ライヴ経験者をピックアップするだけじゃねーか?(笑)。」
「山川?収支は限り無くプラスマイナス0になるように予算を策定しておきましたから。」
「了解。なるたけ模擬店で稼いだり、吹奏楽部による定期演奏会の有料化により、ライヴ招待ゲストへのギャランティーに充てたりする予定だ。」
「はい。教官。」
「資料室には過去10年分の細かい資料がある。参考にすると良い。」
「教官ありがとうございます。」
「一兵、資料室に行って過去5年分の並木祭実行予算表を取って来てくれ。」
「あいよ。資料室。資料室。」
「大丈夫か一兵?」
「仕事があって嬉しそうだな。あーあ、それと模擬店の売り上げ表も頼む。」
「あいよ。」
「こりゃあ、エクセルを使う必要があるな。」
一方、ライヴ班は…。
「昨年度のライヴ経験者50人と、未経験の1年生5人。戦力的にはこれが精一杯かな。」
「で?学生DJは誰がやるの?」
「山川君には頼めないし…。」
「あのぉ?自分趣味でDJやっているんですけど、役に立てますか?」
「貴方名前は?」
「医学科3年の西表光介と申します。山川先輩の様にはいかないかも知れませんが、穴埋めにはなるかと思われます。」
「そう…。じゃあ今年度の学生DJは西表君にお願いするわ。」
「山川!これ見てくれ!」
「何?出演アーティストにギャランティーを支払った形跡が無い…だと?」
「模擬店の売り上げや定期演奏会の売り上げは全て防衛省に寄付金と言う形で、直接納付されている。」
「マジかよ?まさかライヴの出演アーティストがノーギャラとはな。」
「この資料にはないが、並木祭の参加アーティストには防衛省から一組あたり5万円のギャラを支払ったと言う時代もある。」
「そんないい加減な訳があるのか?」
「過去のデータを見ても学生が稼ぎ出した金を防衛省は吸いとってる事実はあるらしい。」
「まぁ、防衛医科大学校も防衛省の傘下だからな。」
「でも、俺達59期生が入って来た頃には、法律が変わってそう言う悪い風習は無くなった様だ。山川その辺りはしっかりやろうぜ?」
「だな。」




