4年次夏期定期訓練②
その頃、山川達航空要員は、茨城県にある航空自衛隊百里基地に来ていた。
「良子!あれ見ろ!F-15だぜ?」
「それがどうしたって言うのよ?恥ずかしいから少年みたいにはしゃがないで。」
「F-2もあるじゃん!輸送機や救難ヘリもあるぞ!」
「おやおや。今年の防衛医科大学校学生ですね?」
「あんなに騒いでる奴がクラスヘッドて第1大隊長なんて信じられませんよね?」
「人は見かけによらずと言いますからね。それより首藤二佐、防衛医科大学校学生の事は君に任せたよ?」
「はい。分かりました。」
「防衛医科大学校4年航空要員12名着隊致しました。」
「夏期定期訓練。とだけ防衛医科大学校側からは、伝えられていて具体的な訓練内容が決まっていないのだが、訓練内容は君達学生が決めて欲しい。通常任務に差し支えなければ構わない。」
と言われ、12名は話し合った結果、F-2及びF-15体験搭乗に伴うブリーフィング及び体験搭乗。救難ヘリでの医療実習。この3つの訓練を軸に夏期定期訓練を行う事を、首藤二佐に提案。無事受理された。
「他にもやりたい事はあったけど、日程的に無理だと判断されたな。」
「山川つよし学生?」
「はい。」
「12名をABCの4人1グループに分けてくれるか?」
「良子は俺と別グループが良いよな?」
「どちらでも?」
「圧強!?」
「じゃあ今回は別グループって事にするから。」
「夫婦だからって必ずしも同じじゃなきゃ駄目なんて事はないわよね。」
「首藤二佐、グループ分け完了しました。」
「ではグループAをF-2訓練。グループBをF-15訓練。グループCを救難ヘリ訓練。から始め、10日間で1クールとし、30日間で3つの訓練を実行する。」
と、思ったより余裕のある訓練日程を組んで貰い、何とか飛行訓練課程?は終了した。
「F-2とF-15どっちがヤバかった?」
「断然F-15。ここだけの話、気絶しそうになった。ゲロってリタイアした学生もいたらしいじゃない?」
「訓練足りねーからそーなるんだよ。俺なんかめっちゃ楽しかったぜ?」
「相変わらずね。」
「山川つよし学生?ちょっと良いかね?」
「は、はい。」
「訓練はどうだったかね?」
「全員しっかり訓練させて貰いました。」
「そうか。それなら良かった。明日防衛医科大学校に戻るのだな?」
「はい。そのまま夏期休暇に入りますが。」
「これは12名の成績表だ。やはりクラスヘッドの山川学生、君が一番だったよ。次点は君の妻の山川良子学生だった。」
「ありがとうございました。防衛医科大学校の職員に渡しておきます。1ヶ月間お世話になりました。」
「こちらこそ、お役に立てて光栄だよ。」
そして翌日。百里基地の隊員総出で見送られながら12名の防衛医科大学校学生は、並木のキャンパスにに戻った。猛暑の中の訓練だった為、すっかり黒く焼けた山川夫妻は、全く焼けていない金海夫妻に遭遇した。
「山川、めっちゃ顔黒!良子さんまで!」
「いや、一兵達が焼けてないだけだって!まさか潜水艦にでも乗せられたか?」
「ギクッ‼そう言う勘は鋭いよな。」
「良いじゃん。涼しくて。こっちなんかF-15で太陽に喧嘩売りに行く様な訓練だぜ?耐Gスーツ来てだぜ?」
「そりゃ、暑そうだね。」




