1年次夏期定期訓練②
1年次夏期定期訓練のラスト10日間は入間基地での航空自衛隊基礎研修だ。PAC-3やF-2戦闘機にF-15戦闘機、救難ヘリコプター等航空自衛隊の主力兵器や対空レーダー等を見学。特にきつい思いをする事もなく、1年次夏期定期訓練は終了した。教官からはこうお灸をすえられた。
「これはあくまで序ノ口だ。学生の身分の貴様らには身の程が分かったはずだ。だがこの訓練は進路決定に大きな影響を与えるものである。各自しっかり復習しておく様に。以上解散!」
「あー。終わった。腹減った。一兵飯行こう?」
「山川すまん。今日はセツ菜と外出なんだ。」
「へぇー、そうなんだ?一兵君私達も一緒にどう?」
「良子さん?まさかのダブルデート?」
「外出届けは?」
「出してあるわよ。つよしの分も。」
「用意周到だな?」
「セツ菜話したの?」
「ばれちゃった。」
「じゃあそう言う事で。シャワー浴びて行くわよ?つよし?」
「お、おう。」
こうして一月ぶりの外出はまさかのダブルデートとなった。
「ね?良子さん?アメフト部のマネージャーの件考えてくれた?」
「うーん。今も迷ってて。」
「私もいるし、マネージャー一緒にやらない?」
「無理にとは言わないけど、マネージャーでも運動部所属扱いされるし、山川の勇姿も見れるよ。」
「つよしの勇姿なんざどーでも良いけど、悪い話ではなさそうだわ。私やる。」
「良子?入ってすぐやーめたは無しだぞ?」
「分かってるわよ。つよしと一緒にしないで。」
「セツ菜がいるから入るのよ?陸上自衛隊基礎研修の時も10㎞行軍でキツかった時に声かけて貰って凄く心強かったの。」
「そんなに大した事じゃないわ。」
「私、つよしと同じ航空自衛隊目指すの。」
「え?山川海上自衛隊志望じゃないの?」
「いやぁ、やっぱ軍医は丘の上に限るだろ?陸上自衛隊は泥臭いし、キツいし、海上自衛隊はもっとキツいらしいし。」
「私は海上自衛隊志望かな。」
「え?そうなんだ。」
「一兵はどうなのよ?」
「まぁ、海上自衛隊志望だけど。」
「なぁーんだ。仲良いじゃん。将来の道まで同じだなんて。」
「知ってた?防衛医科大学校学生は学生結婚可能なんだって。」
「盛り上がってる所申し訳ないが、先の話より久し振りの外食楽しもうよ。」
「ここのハンバーグマジで旨い。」
「お酒はまだ20歳未満だから駄目だね。」
「俺は皆より一足早く今年の11月には酒もタバコも解禁になる。」
「大人のたしなみね。」
「今日の外出は特別なんだよな?」
「そっか、もうすぐ夏休みだ!」
「よく外出許可おりたな。」
「いや、そうでもなさそうだぜ?周りを見渡せば防衛医科大学校学生の同期ばっか。リフレッシュ外出だな。」
「あ、もうこんな時間。日夕点呼には遅れられない。帰ろう。お会計は?」
「割り勘で。」
「分かった。積もる話は桜寮と小梅寮で、だな。つーか明日からマジで夏休みか…。」




