4年次体育祭④
体育祭実行委員の打ち上げは、いつも通り学生食堂で行われていた。
「いよっ!委員長きれてるよ‼」
いつの間にか宴は酒に酔った防衛医科大学校学生の肉体美を披露する場と化していた。
「一兵?ちょっとやり過ぎよ?」
「良いじゃねーか。日頃の鍛練の賜物じゃん?」
「私が心配しているのはそう言う事じゃなくて。」
「じゃあセツ菜もやる?」
「一兵のばぁか!」
「セツ菜?そんなに心配しなくても、一兵君は一線を越えたりは絶対しないわよ?」
「うん。あれ?山川君は?」
「体育祭実行委員じゃないから桜寮に戻ったわ。」
「少し寂しいね。」
「全然。」
「良子、強がってる?」
「って言うか、最近はLINEすらしてない。所謂倦怠期なのかも。」
「私は毎日一兵とラブリーLINEしてるよ?」
「良いなぁ…。」
「山川君、桜寮長だし色々やること多いんじゃない?」
「それだけなら良いんだけど…。」
「そうだ!来週土曜日ダブルデートしない?」
「それ良いかも。」
「日曜日はアメフト部の防衛大学校との交流戦があるから1日潰れちゃうけど、土曜日なら一兵も山川君も予定空いてるはずだよ?」
「じゃあつよしには、私から聞いておくね。」
「私も一兵に聞いておくね。」
「おお、盛り上がってるね、防衛医科大学校学生諸君!」
「川下一曹!」
「今年の体育祭の騎馬戦見たよ。凄かったね。もう50万回再生されてるよ。」
「誰がアップしたんですかね?」
「体育祭実行委員の誰かだろ?」
「東軍大将かっこ良すぎ…だってさ。」
「東軍大将って言ったらつよしの事じゃない?」
「見てる人は見てるね。良子学生も鼻が高い。」
「山川学生?」
「つよし‼」
「山川君?」
「あまりにも暇なんで飯食いに来たんですけど、一兵を野放しにしておくなんて、良子もセツ菜ちゃんも人が悪い。」
「たまには良いじゃない。まぁ、この暴れっぷりは大したもんだわ。」
「セツ菜ちゃん?一兵の奴油断してると浮気されるかもだよ?気をつけな。」
「山川君が横にいないからだよ?」
「何で?俺が横にいなくても、立派に体育祭成功させたじゃないか?」
「そうよ?セツ菜?一兵君はつよしが横にいなくても立派にやれるんだよ?」
「私は山川君と一兵の両方に喜んで欲しいの!」
「良い大人がそんな事を言う?」
「セツ菜ちゃん?後二年後には俺達別々の道を歩むんだよ?」
「だったら尚更じゃない?」
「いい加減にしなさいよ。つよしあんたね、セツ菜の気持ち考えなさいよ?皆体育祭の成功を喜んでいるのに、つよしは混ざれないから嫌み言いに来たの?」
「ああ。そうさ。俺は一度見てみたかったんだよ。たまには一兵に花持たせようと思ってな。」
「見損なったわ。山川君、私たちの事ただのママゴトの同士位にしか思ってなかったの?嘘だよね?」
「っく!」
「ちょっとつよし、話はまだ終わってないんだけど!」
「まぁ、寂しかっただけじゃん?傷口に塩塗っちまったな。」
「一兵が自分より優れている所があって。それに気付いて。」
「川下一曹、どうしたら良いですか?」
「ここは冷静に腹わって仲直りすべきでは?」
「俺もそう思う。」
「一兵?いたの?」
「山川の気持ちがよーく分かるからな。」




