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防衛医科大学校~知られざる医官(軍医)養成所~NDMC (ナショナル・ディフェンス・メディカル・カレッジ)  作者: 佐久間五十六


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4年次体育祭①

 「イベントごとも4年生が実質ラストか…。」

 「5、6年生はアドバイザーだもんな。」

 「俺は体育祭実行委員長やろうかな?」

 「一兵マジで?」

 「山川は寮の事もあるだろうし、色々大変だろ?」

 「まぁ、暇ではないな。」

 「ほんなら、俺が副委員長やるわ!」

 「吉永!?」

 「看護学科は今年で卒業だからさ、良い思い出作らせてよ。」

 「じゃあ、体育祭は二人に任すわ。」

 と言って、まず幹部メンバーを決める為、4年生全員を召集。その中から40人を体育祭実行委員会の幹部として認定。そこに1年生~3年生の実行委員60人を合わせた100人で体育祭を運営して行く事になった。内訳は経験豊富な3年生から30人、2年生から25人、1年生は未経験の為最小限の5人を集めた。

 看護学科と医学科の共同行事として、例年通り5月下旬に行われる事も決まった。体育祭の企画運営は、体育祭実行委員会が中心となり行われる。今年は例年とは、一味違い学年対抗ではなく、1年生~6年生の学生をシャッフルして、各学年20人ずつ×6学年=約120人(5、6年生は看護学科の学生が卒業している為)を1つのチームとして、東西南北の4チームとして120×4=480人で行われる新しい方法で争う事にした。

 東西南北の4チームは、分かりやすくする為ゼッケンを着用する。いかんせん防衛医科大学校史上初の試みだ。それだけに上手く行くかは未知数である。男女学年混合の騎馬戦も初めて。今年はこのメインイベントも様相が大きく変わる。去年までは男子の部と女子の部に分けてやっていたが、今年の体育祭は全ての競技を男女学年混合にする方針だ。プログラムの構成上男女学年を分けずに行う事により、応援合戦の時間や騎馬戦の時間を増やせると言う利点がある。

 また、5、6年生もかやの外には出さずしっかりと参加して貰うと言う狙いもある。前年度(2024年度)、前々年度(2023年度)の体育祭実行委員長をアドバイザー(SV)として配置したのも今年度(2025年度)が初めてである。"全員全焼"をスローガンに約1ヶ月間の戦いが始まった。体育祭実行委員会の活動時間は、日課後の1700~1930までの約2時間で土日もフル活用して準備に取り組んだ。手の込んだ体育祭にする為には、土日は基本フリーと言う防衛医科大学校の伝統を踏襲する訳には行かなかった。

 「なんだ?珍しいな。一兵学生が体育祭実行委員長なんて。いっつも山川のサブだったのに。」

 「一兵学生ってやめて下さいよ川下一曹。そんな呼び方した事無いじゃないすか?」

 「まぁ、いつも一位を取るだけが能では無いからな。山川学生も第1大隊長としてやること沢山あるだろうしな。」

 「何で防衛医科大学校の学生じゃない川下一曹にそんな事分かるんですか?」

 「あのなぁ、自分が防衛医科大学校に着任して何年になると思う?」

 「そうですよね。川下一曹には何年も防衛医科大学校学生を見てきた、酸いも甘いもお見通しですよね?」

 「少なくとも、一兵学生よりは知ってるはず。」

 「まだ4年生だろ?」

 「はい。」

 「毎日お前らの様に話してくれる学生はそう多くはないけど、自衛隊の医官として、苦学する学生を何人も散々と見てきたよ。クラスヘッド級のお前らには分からんだろうがな。」

 「努力と地頭の差ですよ。」

 「そう言うものかな?」

 「しっかりじゃあ、駄目なんですよ。パーフェクトじゃあないと。」

 「川下一曹にそんな事分からないと思いますが…。」

 「分からない奴が聞くから、新鮮な回答に聞こえると言う学生もいたで?」

 「本当ですか?」

 「おい!山川?川下一曹にあたるなよ。」

 「そうよ。つよし何イラついてるの?」

 「御馳走様。」

 「まだ話終わってないぞ?山川学生。」

 「本当はやりたかったんじゃないかな。体育祭実行委員長。」

 「それはそうかもな。」

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