3年次卒業式②
「水竹先輩!」
「お?次期桜寮長がわざわざ挨拶をしに来るとは?」
「水竹先輩の耳にも入っていましたか?」
「5、6年ってのは相当暇だからな。それより山川、貴様その銀製桜章の重さは半端ないぞ?」
「はい。覚悟は出来てます。」
「金海!山川のサポート、副寮長としてしっかりな。」
「はい。」
「ま、俺に出来たんだし大丈夫だよ。きっとな。」
「はい。第59期桜寮長として頑張ります!」
「雑務はその内慣れるだろうけど、学習を怠るなよ?まぁ、選ばれし者しか入れない"桜の園"の中心メンバーだからな。心配はいらないか。」
「寮長室の事桜の園って言うんですね。」
「ああ。しっかり伝統を繋いでくれよ?」
「はい。(敬礼)」
「じゃあな。」
「お元気で!」
一方、セツ菜と良子は…。
「左門先輩!」
「何?なんかあった?次期小梅寮長と副寮長が揃って?」
「随分立派になったわね。金海セツ菜学生。」
「はい。訓練のお陰です。」
「聞けば夫婦で桜&小梅寮長なんだってね。防衛医科大学校の歴史に名を刻むカップルになりそうね。」
「もしかして学生結婚しているの?」
「はい。」
「何それ、凄いわね。しかし、第59期どうなってんのよ?」
「まぁ、愛の形は人それぞれだからね。頑張ってね。山川良子学生と金海セツ菜学生。」
「はい。頑張ります!」
「私、航空要員なんだけど山川良子学生は?」
「私も航空要員です。夫がどうしても航空要員がよいと聞かなくて、合わせました。」
「ここまで来たら筋金入りね。元小梅寮長としてのアドバイスは一つだけ。夫も雑務も愛してあげなさい。覚える事はめっちゃ沢山あるけれど、慣れれば楽勝だから。たった80人の中隊長って考えたら、その3倍の人員を率いてる第1大隊長のダンナの方が遥かに大変だと思わない?」
「確かにそうですね。」
「しっかりダンナをリードしてやるのよ?」
「はい。分かりました。」
「私はまだ独身だから夫婦間の事はよく分からないけど、今はスマホと言う文明の利器がある。防衛医科大学校学生はスマホ禁止ではないし、PCも自由に使える。それに同じ部活なら、直接のやり取りもしやすい。だからね、山川良子学生は副寮長の金海セツ菜学生を上手に使いながら、小梅寮の伝統を守って行ってね?」
「左門先輩、色々アドバイスありがとうございます。」
「じゃあ私そろそろ行くね!」
「6年間お疲れ様でした!」
「やっぱ左門先輩の気迫凄いね。」
「だね。」
「でもお陰でプレッシャー無くなった。」
「プレッシャー?」
「うん。」
「良子には似合わない言葉だわ。」
「そう?意外にプレッシャーに弱いのよ?」
こうして第56期生は無事卒業し各自衛隊に任官して行った。




