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08話 裏切り者は元帥と相対する


(シア……ッ)


 アストロスは、シアに贈っていたペンダントが破壊された事を感じた。

 露見した以上、たぶんシアは生きていないだろう。

 7日間。一緒にいた相手でも、問答無用で『頸斬姫』は平気で頸を刎ねる。

 見張らせるために同行させたが、どうやら悪手だったと今更ながらにアストロスは後悔した。


(どうする。俺も教団の一員だと考えているか。それともシア単独だと考えているか――)


 アストロスは、自分の事がシアの口から漏れるとは思っていない。

 拷問でもされたら分からないが、『頸斬姫』はそういうタイプではなく、疑わしきは頸を跳ね飛ばすタイプなので、漏らす前に殺された可能性が高いと考えていた。

 アストロスは考え、考える。

 そして、此処でアデルを殺す事にした。

 水浴びしている最中であれば、銃器は近くに置いてあったとしても、直ぐに撃つことはできない。初撃を決めることが出来れば、勝機はあると考えた。


 アストロスはアサルトライフルを構えると森の中を慎重に進んでいき、自身の射撃射程圏内まで移動する。

 「雷」弾は「光」弾に次ぐ速さを誇る。

 ただどちらも視認して回避できる速さではないのは共通していた。

 ギリギリの距離まで移動したアストロスは、大きく深呼吸すると息を殺して標的を見る。

 ターゲットスコープからは、シアが胴体と頸に分かれ死んでいるのが確認できた。

 そしてどうと言うことも無く、水浴びをするアデル。

 まだアストロスが、銃口を向けて狙っている事に気がついた様子は無い。

 アサルトライフルに魔力を込め、「雷」に魔力を変換する。


(シア――。せめてお前の仇は討ってやる)


 シアはアストロスの従妹である。

 四年前。キリディア元帥とアデルがしたカルト教団殲滅戦において、両親が死んだこともあり引き取り世話をした。

 同性ということもあり、アデルと親交を深めた所を暗殺でもできればと考えていたが、今回の件が急だったこともあり、慣れさせる事ができなかったのが悔やまれる。

 引き金に指をかけ、引こうとした瞬間。

 アストロスの肌に鳥肌が立った。


「お前程度では、アレは殺せないぞ」


 背後から声がしたので、銃を構えたまま振り返る。

 そこに居たのは、四十歳前後の男性。

 アストロスは知っている。

 アデルと共に忌むべき怨敵の1人でありながら、斃すことが不可能な域にいる相手。


「キリ、ディア……元帥、閣下」


「タイミングを誤ったな。アレを殺そうとするならば、同胞と挟撃すれば、もしかしたら出来たかもしれぬぞ。――そうだなぁ。昨日辺り、後ろから撃てば、殺せたかも知れないな」


「……見てたのですか」


「この国程度の範囲なら、儂は大地や木々を通じて視ることが出来る。もしかしたら、お前程度でもアレに「生の渇望」を与えられるかもと期待していたが、このタイミングで直接行動でるようなら見込みはない。最早、興味なし。――疾くと死ね」


 ――殺される。

 アストロスの全身の細胞が「死」を感じた。


(ま、だっだ! 元帥の魔法は「土」と「水」。俺は属性は「雷」。速さでは俺が有利!!)


 アストロスは細胞全体に魔力を流し、それを「雷」に変換する。

 アデルが使用する「オーバーロード」の発展型。全身を雷にする事で、身体能力及び速度を飛躍的に上昇する事が可能である。

 勿論、「オーバーロード」と同様にデメリットも存在するが、今のアストロスには、それを気にしている余裕は無い。

 距離を保つため、後方に雷速で移動しようとした直後。足が切断される。

 痛みを堪え引き金を引こうとした瞬間。両腕を肩から切断される。

 その間、僅かに刹那の瞬間であった。


「な、なぜ……」


「阿呆か? 儂は「土」と「水」属性の魔法使いだが、他の属性が使えぬ訳では無いぞ。魔法使いには劣るが、他属性も最高レベルで使える。特に貴様のような童程度の魔術に負けるハズがない。そもそも生きている年期が違う」


 千年以上生き数々の修羅場を経験してきているキリディアと、僅か二十数年で経験と言えば帝国との戦線程度のアストロスでは、戦うステージがあまりに違いすぎた。


「妙な魔力反応を感じたので慌てて水浴びを中断して来てみれば。――ご先祖様に、アストロス大尉。何をしているのですか」








 気持ちよく水浴びしてた所に、妙な魔力反応を感じてきてみれば、アストロス大尉が両手両足が切断されて倒れていて、ご先祖様がなぜかこの場にいた。

 キリディア・シュペイン。

 初代シュペイン公爵家当主、現トリニティア王国元帥。魔法使い。

 千年以上生きている怪物。

 この世界で、一番会いたくない人物。

 私は常識の徒と言える存在なのだが、ご先祖様は非常識の徒なので、相性が悪い。

 それに、私に魔法を継承させようとしてくる厄介な人。


 この世界には、魔法という強力な力(戦略級核レベルの破壊力)がある。

 「火」「水」「風」「土」「闇」「光」の六大元素それぞれに魔法印があり、誰かが継承をしていた。

 ゲームの設定では、「水」「土」はご先祖様。「火」「闇」は帝国の魔女。「風」はあるキャラが持っていたけど攻略対象者に後々継承され、「光」は封印されているけどイベントでヒロインが習得可能であった。

 魔法印を全部集めることも可能。ただ二種類までは問題無いけど、三種類以上自身の身に宿すと強制BADENDルートになる。それは、今まで攻略を進めてきた攻略対象者たちと敵対して全員を殺してしまうという救いの無いルート。因みに悪役令嬢はヒロインに瞬殺されることになる。

 強すぎる力は身を滅ぼすという教訓。


 魔法関係は強い力だけありBADENDルートに入る可能性が極めて高い要素。

 この世界は、0と1のプログラムされた世界では無いとはいえ、少なからず運命という強制力はある気がする。

 そう考えると、ヒロイン関係でBADENDになる可能性が高いのに、BADENDになる可能性が高い魔法なんて厄介極まりない物は断じて欲しくない。

 正直、ご先祖様は千年頑張ってきたんだから、後数千年は保持して頑張ってほしいと思う次第です。




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