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06話 悪役令嬢は襲撃される


 私は馬車に揺られながら王都へ向かっている最中です。

 ただ。ただね?

 この馬車はおかしい。対魔術用に全体をコーティングされていて、窓には鉄格子に鉄網が嵌め込まれている。

 まるで犯罪者を護送しているみたいじゃないですか。

 普通の木製の馬車で良いのに、なんでこんな馬車をわざわざ用意するんでしょう?


 馬車もそうだけど、中の空気も悪い。

 乗り合わせているのは、アストロス大尉とシア三等兵。

 2人とも自分から話をするタイプじゃないようで、馬車に乗ってからは一言も話していない。

 しかたないので、私はアサルトライフルをメンテナンスをしていた。


 私が所有しているアサルトライフルは、王国軍が制式採用している「ツァプル二型改」

 魔力を魔弾に変換するタイプで、王国軍の重火器の中ではカスタマイズがしやすい部類。因みに一型は魔力ではなく実弾を放つタイプ。

 改とつけてあるのは、私が帝国軍が持つアサルトライフルから部品を取って組み合わせたり、先端に短剣を装着してたりするから。

 王国軍の重火器はお世辞にも性能が高いとは言えない。だから、帝国軍の銃から部品を取って改良している訳だけど、ぶつちゃけた話をすれば、帝国軍のアサルトライフルをそのまま使った方が何倍も良いんだけどね!

 どんな高性能パーツを使っても、元々の性能が低いとね……。

 これも王国軍が、妙なプライドから敵勢力(帝国軍)の武器を(そのまま)使用するのを禁じているのが悪い。

 ……お陰で私の銃は、王国軍をベースとして帝国軍のパーツを四割ほど使用しているため、他の人に任せるわけにはいかず、自分自身できちんと誤動作無く運用できるように定期メンテナンスをしないと駄目だったりする。

 だから決して私は銃器オタクというじゃない。


 魔力伝導のテストをしていると爆発音と共に少し馬車が揺れる。

 盗賊かな! それともモンスターかな!

 少しだけわくわくしながら、馬車の窓から外を覗いた。

 物によっては、王都に遅れる理由になるからね!

 窓から覗いて見た物に、私はさっきまでのわくわく感はなく、ただただ落胆した。


「なんだ。ただの野良カルトじゃないですか」


「野良、カルト!?」


「ええ。ご先――いえ元帥閣下にご指導ご鞭撻を受けていた頃に、元帥閣下が叩き潰したカルト教団の残り滓ですよ」


「と、いうことは、お前を狙って来たって事か!」


「そうかもしれませんね。私は何もしてないんですけど、魔法使いの元帥閣下には勝てないから、当時一緒に居た私を狙っているんでしょう。困った事です」


 私がした事といえば、カルト教団が奉っている神像を木っ端微塵に砕いただけなのに。

 その時、どんな仕掛けをしていたか知らないけど、脳内に直接大音量の断末魔が聞こえてきて、気が狂いそうになった。

 しかも何故か、ご先祖様が魔法を継承させようとして来たものだから、神像を壊したことは私の中では百害にしかなってない。


 カルト教団自体は崩壊したけど、教団の生き残りや、その生き残りから思考を染められた者が困った事に一定数居る。

 私はそれを野良カルトと呼んでいる。

 はっきり言って迷惑以外の何者でもなく、凄く面倒くさいだけの存在。

 分かり易く言えば経験値0の強モンスター。

 あいつらは自家栽培した神薬と謳っている物を服用していて、脳内リミッターを解除しているため並の軍人の数倍強く、ゾンビ並に死ににくい。それで得られる物は、疲労だけなのだから割に合わなすぎる。


 それにしても、流石は対魔術用にコーティングされているだけあって野良カルトの攻撃にビクともしない。

 もしかしてファーライム少将は、この事態を見越して用意してくれたのかも知れない。

 流石、少将閣下。

 私の中で、少将閣下への好感度が急上昇した。


「少尉。撃退するぞ」


「え。いや、今は一刻も早く王都まで急ぐことを愚考します。下手に相手取って遅れたら、アストロス大尉の評価にも関わります」


「このまま襲撃を続けられる方が問題だ!」


「アストロス大尉が、そうするのでしたら、下位士官である私としては従うのみです」


 よしっ。これで王都に到着が遅れたとしても、責任の半分ぐらいアストロス大尉に行くハズ。

 面倒くさい野良カルトを相手するのだから、それぐらいはね?


「俺は馬車から射撃を行う。少尉は飛行魔術で攪乱しながら撃退しろ」


「了解しました」


 馬車の天井が開いたので、私は空へ向けて飛び立つ。

 同時に馬車を狙っていた銃口は、私に向けられ実弾や魔弾が向かって来た。

 え。なんで、全員がこっちに向けるのかな! 狙いは私なんだろうけど、今は軍服を着ている訳だから、遠目には私だという確証は得られないはずなのに……。

 あ、飛行魔術か。

 それで私だと判断した可能性が高いっ。

 回避と同時に高度を上げながら、野良カルトの集団に向けてアサルトライフルを構えてて魔弾を放った。

 野良カルトは十名ぐらい……。こんな事に十名って事は、実態は倍以上はいそうだなぁ。


 馬車から雷が奔り野良カルトの肉体を貫いた。

 アストロス大尉の雷に変質した魔弾だ。貫かれたカルトの1人は、落馬すること無く、私に向けて魔弾を放ってくる。

 やっぱり神薬をキメてるっぽいね。頭を潰さないと駄目かぁ。

 アストロス大尉も気づいたのか、二射目は頭部を貫き、その野良カルトは落馬した。


 ……それは兎も角として、アストロス大尉の魔弾を雷に変質させる技術。

 私は風属性だから、変質させても威力アップとかは望めないけど。もしかしたら魔弾の操作は可能なんじゃ。

 動く的もあることだし、少し試そうか。

 アサルトライフルを構え何時もより風の性質を多くして打つ。

 高速で敵に向かって行く魔弾を、操縦する。

 頭部に行くように操縦したつもりが、外れて地面に当たった。

 あー、うん、操縦は出来たけど、これは慣れと集中力と魔力が必要だね。

 確実にヘッドショットを決められる術になりそうだけど、魔素が濃い状態だと分からないから、とりあえず戦場で試しながら、かな。

 とりあえず、今は野良カルトの殲滅をしよう。




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