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04話 悪役令嬢は拘束され上官から詰問される


 私が何をしたというんだろうね?


 椅子に座らされているのは、うん、納得する。

 けどね? 身体に鉄の鎖に二重に巻かれ、手は椅子の後ろに回され手錠、足は椅子の脚と一緒に縛られている状態。

 これ、下手な犯罪者よりもキツい気がするんだけど?

 絶対に気のせいじゃ無いよね


「不満そうだな。アデル少尉」


「――このような事をされて不満を抱かないほど、私は人間ができてません。ファーライム少将閣下」


 ファーライム・ディカ・グラベリス少将。

 半数以上が名ばかりの無能な階級保持者の中で、この方はとても有能な人です。

 王国自体が長年戦争と無縁だった事もあって、階級も親から子へ継承される事が多く、手柄を立てて昇進という事はほとんど無かったようです。

 そんな平和ボケした王国の中でも、ご先祖様(立場が元帥ですからね)の元で一部の人たちは、真面目にカルト教団を叩いたり、野盗などの賊退治したりして、功績を挙げて昇級した希有な存在が居て、その中の1人がファーライム少将。


「……一対一で、無防備な少尉と遭えるほど私は勇敢では無いのだよ」


「ファーライム少将。私は、理由もなく味方に手を上げた事などありません。――ただ、そうですね、もし少将が私に欲情して、上官の立場を利用して手込めにするというのであれば、多少の抵抗はやむなしと考えますが」


「私は妻がいる身だ。……よしんば、我が身が独身だとしても、少尉に手を出すことはまずありえんから、安心したまえ」


 そこまで断言されると、乙女としては複雑な心境になるなぁ。

 私としては、年の差が20以上離れているけど、ファーライム少将は有りか無しかで言えば断然有りだ。

 だってアラフォーの格好良さがあるもん。

 でも、私はゲーム脳系ヒロインみたいに、NTR趣味は持ち合わせていないので、戦争が早期終結して奥さんと共に幸せな日々を送れる事を祈ることにします。。


 え?

 婚約者のノイド・ワウル・デッシェル第二王子はどうしただって?

 5年近く手紙1つ寄越さない人なんて知りません。

 噂では妹と仲良くやってるらしいので、婚約破棄するなら早めにして欲しいです。

 そうすれば私は自由恋愛できるようになる。

 ――もしかしたら戦場にラブロマンスが映画みたいに起こるかもしれない。

 まぁ、この4年間。全く起きなかったですけどね。


「さて、少尉。なぜあのような愚行をしたか、理由を聞こうか」


「零距離からの魔弾に対する耐久テストです」


「耐久テスト……。私は、てっきり王命によるパーティーの誘いが厭で、あのような事を仕出かしたのかと思ったよ」


「まさか! 私は王国国民であり王国軍人として、国王陛下の命令であれば従う所存です」


 配達人が届けてきた手紙を出され、ズバリ言われたので、私は心にもない事を言った。

 だって、仕方ないよ。

 ここで正直に「はい、パーティーに出席するのが厭なので自分を撃たせて重体化させるつもりでした!」なんて言ったら、不忠者として処刑される可能性がある。


「――ならば、パーティーに出席するには問題ないという事で良いな」


「…………ええ。国王陛下に少将閣下の命令とあれば従います」


「ならば、馬車と――そうだな。アストロスを付けよう」


「待って下さい。私は、もう15歳です。王都へは1人で行けます。それにいまは小康状態とはいえ戦時中。こんな事に、アストロス大尉をつけてもらう訳にはいきません」


「心配無用だ。現状、大尉と少尉が居ない間に、大規模進行が起きる可能性は少ない。帝国とて我が国以外の他国と戦争を抱えている以上、戦線の拡大は本意では無いだろう。しばらく小康状態が続くというのが、我々の考えだ。だから、問題はない」


「しかし、この世に確実な事はありません。一寸先は闇という言葉もあります。アストロス大尉のような優秀な将を、私事に付き合わせるのは……」


「――優秀だからこそだ。少尉が、不確定な出来事に遭ったとしても、確実に王都へ連れて行くことが可能な人材だと考えている」


 ……まさかだけど、感づかれている?

 王都への途中、盗賊達時とかモンスター退治をすることで時間を稼いで、行ったときには終了してましたって事を狙おうとしてた事が。

 間に合わなかったことは咎められるだろうけど、国民の安全第一を優先したといえば、それほど重罪にはならないハズだったのに。


 それにしても、アストロス大尉とか、止めて欲しい。

 あの人は恐いんだよ。雷属性の魔術師で、顔が8○3を相手にしている警察官みたいな感じで、威圧感が半端ない。

 そんな人と長距離移動とか、精神的拷問に斉しいと考えますが!


 でも、ファーライム少将閣下に文句を言っても変わらないだろうなあ。

 所詮は私は少尉。少将閣下とは階級差があり絶対的だ。

 ならば、少しでも好印象で終わらせるために、私は満面の笑みを浮かべて承諾した。





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