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天職が告げられて絶望しました

「凡庸な俺でも英雄に……世界を救う正義の味方になれるのか?」


そんな疑問を抱いたのは妹と幼馴染が連れていかれた後だった。最愛の妹と最愛の幼馴染を勇者に連れていかれた(自分の世界の全てを失った)彼は、絶望した。



とある村。名前は特にはない。ただ言われているのは神に愛された村。そう呼ばれている。

そこで過ごす黒髪黒眼の少年……アルファは貧しいながらも元気に暮らしていた。

彼には双子の妹がいる。名をテレシアと言う。テレシアは白金の髪色と黒眼を持ち兄を慕っていた。兄妹で髪色が違うのは両親で髪色が違うからだ。兄が行くところにいつもついて回って兄がすることを真似ることを楽しみとしている。両親は3年前に死んだ。

アルファは現在15歳。そう、今日は天職のお告げの日でもある。


「お兄ちゃん、ようやくだね」

「そうだね……」

「リリィちゃん何かなぁ……」


リリィは白銀の髪色を持ち、瞳は翠。そして、アルファの幼馴染である。

と同時に将来を誓い合った婚約者でもあるのだ。

と噂をすれば走ってきた。


「はぁ、はぁ……ごめん待った?」

「ううんそんなに、それじゃ行こう?」


そうして天職のお告げが始まった。

順調に進んでいき、


「リリィの番だね。いってらっしゃい」

「アルファ……どんな天職でもアルファと離れたくないから……その……」

「わかってるよ。行ってらっしゃい」


そう言うと、はにかんでから歩いて行った。

そして……


「剣姫だと……」

「え!?うそっ!剣姫なの!?」


驚いて声が出ないリリィを放って、村人達は歓喜に沸いた。

そして、ひと騒動あってから、今度はテレシアの番だ。


「テレス、行っておいで」

「うん、まさか剣姫の後にレアな天職が出ることなんてないけどね~」


そう言うと歩いて行き、お告げを待った。

すると、


「聖女!?今度は聖女か!」


そう、テレシアは聖女なのだ。


「お兄ちゃん……私……」


テレシアは泣きそうだ。


「テレスは悪くないさ。剣姫と聖女か……どうせなら狂戦士にでもなりたいなぁ……」


狂戦士は勇者パーティーに入れる唯一の男職だ。

そして、待ったが、


「なんだこれ?Braver?なんて読むんだ?」


それは、誰にも読めない。

日本語で書かれていないのでただの村人扱いされることになり、2人と引き離される。


「テレス!リリィ!これを!」


アルファはひとつの魔道具である腕輪を2人に渡した。来年の誕生記念に作っておいたのだ。

それを貰った2人は泣きそうになりながら連れていかれ、数日後、勇者パーティーとして王都へ向かった。

因みに、アルファはテレシア達から手紙を書いてもらう事になった。

アルファは一人になった。

そして大切なものを全て失ったアルファは考えるのだ。おそらく、よくある勇者物語のように2人は勇者に取られるのだろう。

そして、絶望の中、甦った記憶の中で言った言葉を思い出した。


「凡庸な俺でも英雄に……世界の全てを救う正義の味方になれるのかな……」


と。

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