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あれ、何で転生したんだろ?
「時雨はもしかしたらこの世界の救世主なのかもしれないな」
混乱する私の頭をぽんっと撫でて、皇さんが言う。
その優し気な眼差しにざわめいていた心が落ち着いた。
「時雨、俺と共に旅をしてくれぬか?」
「ほかに行くあてもないのでお供させてください」
「あの、救世主って……?」
「言い伝えだ。今この世界では男が刀に操られている。それを妖刀で斬って世を戻す救世主が現れると暗示が出ていたんだ」
そうだ、と思いだしたように皇さんが荷物を探った。
「この刀を使え。時雨なら、上手く使えるかもしれない」
艶やかに光る紫の鞘。
少しずっしりとした重み。
それは、なにか普通の刀とは違っていた。
「妖刀、夜桜だ。何かあったら刀が導いてくれる」
「ありがとうございます」
なんだか、よくわからないけれど妖刀使いに転生したみたいです。