あれ、何で転生したんだろ?
転生、ということは一度死んだことになる。
私は、どうして死んだんだっけ……?
覚えている最後の記憶を遡る。
私は昼休憩にオフィスの外でランチを食べようと階段を下りていた。
その日は、エレベーターが点検で止まっていて階段で降りるしかなかった。
好きなアニメのオープニングテーマを口ずさんでいたら、スマホに通知の振動が起きた。
確認すると、そこには取引先からの緊急の連絡が来ていた。
「マジですか……」
ランチは諦めて戻るしかない。
私はため息をついて引き返そうとした。
すると、
スマホに繋いでいたお気に入りのストラップの糸がプツリと切れてストラップが下へ転がって行ってしまったのだ。
何なんだこの不運さは。
行ったり来たりを繰り返していることにいら立ちを覚えながらストラップを取ろうと手を伸ばした。
瞬間、
「うわ、やっ!!」
何かに背中を押されたみたいに、何の抵抗もできず引力に従わされた。
手すりをつかもうとした手も空を切り。
落ちる。落ちる。
階段のステップに体を叩かれながら。
受け身を取っていればよかったのかもしれない。
地面に頭をぶつけて強い衝撃に、痛みに目をつむった。
どんどんと意識が遠のいて……
「ここに来たんだ」
え、待ってダサすぎる。
階段から落ちて死ぬなんて。