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起きた狂人
「痛たたた」
先ほど斬った狂人がうめき声をあげた。
私は思わず構えたが、皇さんが手で制した。
「もう大丈夫だ」
そして、皇さんは狂人のもとへ歩いていくと手を差し伸べた。
「大丈夫か。立てそうか?」
皇さんが微笑みかけると狂人は目をキラキラさせた。
「貴方は命の恩人です!!本当にありがとうございました」
「いや……俺は助けてない。時雨が、おまえを助けたんだよ」
「時雨さん……?」
「、俺のことだ」
そうだった。男装してるのに私はおかしいだろ。
「ん……?貴様、まさか女か?」
「ち、がう。俺は男だ」




