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8月2日
夏祭りに行った。
焼きそば、りんご飴、かき氷。
屋台がたくさん並んでいて、おいしそうな匂いがする。
「なんか食うか」
「どっちでも」
ちょっと待っててと言って、彼はたこ焼きを買ってきた。
え、という顔を思い切りした。
「なんでたこ焼き…」
「シェアできんじゃん」
俺、天才?と笑う彼の横顔が花火に照らされてきれいだった。
じーっと見ていると彼がこちらを見て、急に我に返る。
屋台を見ているふりをして顔をそむけた。
「つか、食わねーの」
「だれがいついると言った」
「じゃあいらないんだな」
「食べるけど」
ん、と差し出されたたこ焼きを食べながら花火をみあげる。
「受験生がこんなことしてていいの」
すぐに答えが返ってこなくて、彼の方を向いたらにっと笑って
「俺、天才だからだいじょぶ」
「二回は言わんでいい」
大事なことなんで。と自信たっぷりに言った。
どこが。笑いながら私は彼のほうを見た。
その瞬間なぜか、彼がとても遠く感じた。




