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プロローグ
無機質な灰色の内壁。これは次世代コンクリートと言うらしく、非常に耐久性が強く、核兵器とかの爆発の衝撃を受けてもびくともしないそうだ。
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外壁はこのために開発されたマテリアルを使用したこれまたのっぺりとした柄もない壁。しかしこれは先ほどのコンクリートとは違い、光沢感がある。これも耐久性がきわめて高い。計算上、核爆発を10回受けても壊れない設計だ。
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ドアは3重になっており、それぞれとても分厚い。高さもあまりなく、背の高い人なら頭を下げないと通れないかもしれない。しかしこれ以上高くても、低くてもいけない。核爆発の被害を最小限に抑えるために考えられた、最適な高さなのだ。
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「それ」には、窓はない。
「それ」には、美しさはない。
「それ」には、傷も凹みもない。
冷たいシェルターが、そこにはあった。