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この異世界に勇者は要りません!  作者: 狐ン
異世界生活の第一歩
7/8

閑話1 異世界召喚

今回は小春達メインです

 周囲に光が溢れ、小春は目を瞑る。しかし、握っていた蒼冶の手の感覚がふっと消えた……。


 統一暦3691年7月21日


 小春は、周囲に人の気配を感じて、目をそっと開いた。まず目に飛び込んできたのは、周囲を囲む、巨大な紋様だった。幾何学模様がびっしりと書き込まれている。そして、自分達のいる場所から一段下がった所には、質の良さそうな服を着、煌めびやかな装飾を着けた人たちが30人程、膝を着いて頭を下げている。凄い、なんて巨大な建物なんだろう。


 ちらりと後ろを見ると、他の五人も驚きを隠せないようだ。


 すると、自分たちの前で頭を下げていたうち一人の老人が頭を上げた。

 「おお、勇者様方、ようこそ、ユリアスへ。お待ちしておりました。儂は中央聖教会の教皇を務めている、オルカー・マルクスと申す者。以後、宜しくお願いしますぞ。勇者様方、詳しい話は明日致しますので、本日はお休み下さい。」

 オルカーと名乗った老人は好好爺然とした微笑を見せた。

------------

 「くそっ、あのジジイめ、何故勇者召喚を実行した!」

 深夜、教会。小春達勇者が召喚された施設に割り与えられた部屋で、二人の男が話混んでいた。

 「ま、まぁ落ち着いて下さい、ルーカス殿。何もそんなに怒鳴ることも……。奴等に、勘づかれますぞ。」

 「う、うむ。」

 それを聞いて、ルーカスと呼ばれた、太り気味の男は声のトーンを落とす。

「しかし、何故あのジジイどもは勇者に頼らずに魔王を倒すという考え方が出来ないのだ。我々は魔王が現れる度に勇者を召喚している。だが、逆に言えば勇者に全てを頼りきっていると言われても仕方がない。」

 ルーカスはテーブルの向かいに座っているやや痩せ気味の男に話を振る。体型に加え、着ている服もルーカスに比べて質素な物なので、どうもこの部屋に釣り合わない。そのせいか、胸の辺りで輝く金のバッチは良く目立つ。


 「ええ。しかし、それだけではありません。過去の文献から見るに、我々の技術レベルは、勇者召喚が始まってからほとんど変わっていない。勇者なら大丈夫、勇者に任せれば良いという人々の考えが技術の発展を妨害しているんです。」


「ああ、全くそのとうりだ。この状況を打開する為にも、我々が動くべきだ。」


 夜は更けていく。人知れず行われたこの会談が、後に勇者達、ひいてはこの国に大きな影響を与える事になるとは、まだ誰も知らなかった。

---------------

 次の日、小春達は、オルカーさんの待つ教会の大広間に招かれた。大広間と言っても、見た目は王の間のように豪華な造りだ。

 「うむ、では早速だが、そなた達のステータスプレートを確認させて貰う。勇者の役職を決める大切な儀式じゃ。因みに、隣に居るのは枢機卿のシルクスじゃ。儂の補佐をしてもらっている。」

 皆が集まったのを確認すると、オルカーは話始めた。「はじめまして、枢機卿のシルクスです。以後、お見知りおきを。では、早速。おい、石板を持ってきてくれ。シルクスが呼ぶと、五人の前に石板が運ばれてきた。所謂タブレット端末位の大きさだ。

「まずは、ステータスオープンと唱えてくれ、そのあと石板に向かって転写と唱えてくれ。」 

「「「「「ステータスオープン」」」」」

 五人は同時に唱えた。

 小春の目の前にステータスプレートが現れた。しかし、他の四人の物は見えない。反応的には、他の四人も見えているようなので、どうやら自分以外には見えないようだ。まずは自分のステータスを確認してみる。


--------------------

名前:コハル・ミナミハマ

種族:人間

職業:勇者

レベル:1


ステータス

体力2000/2000

魔力300/300

防御力150

筋力200


スキル

千里眼1 付情眼1 マジックホール1 光魔法1 俊敏1 鑑定1 ???


加護

創造神の加護 ???

--------------------

 「因みに、標準的な人間なら、ステータスはオール100で、スキルは1~2個くらいが普通じゃな。それと、スキルの横の数字はレベルじゃよ」中々のグッドタイミングて、オルカーの解説が入る。だが、気になる事がある。スキルと加護の欄に、はてなマークがついていてよく分からない所がある。鑑定と言うのは、おそらく周りの物の状態を見る物だろう。昔、蒼冶がそんな事を話していた。

 試しに、小春はステータスプレートに鑑定をかけてみた。念じれば使えると仮定してやってみたが、どうやら正解だったようだ。結果は、ステータスの詳細情報が見れるようになった。


 勇者:世界を救う者。全ステータス+100%

 千里眼:一定距離内の物を見ることが出来る。遮蔽物は無視出来るが、結界によって阻まれる事がある。

 付情眼:ステータスを持っていない岩や樹木に、擬似的なステータスを付与する。但し、付与対象は、ステータスによって性質が変わる事は無い。

 マジックホール:自分専用の異空間を出現させ、収納等を行う事が出来る。他人の物と共有することが出来る。中の時間は止まっている。

 光魔法:光属性の魔法の詠唱速度+10%&効果20%アップ

 俊敏:速度+50%アップ

 鑑定:様々な物を鑑定し、ステータスプレートを表示させられる。ステータスを持たない物には効果なし。対象のレベルによっては、防がれる。

 ???:???

 創造神の加護:全ステータス+100%アップ&成長速度アップ

 ???:???


 鑑定したが、やはり分からない所物もある。鑑定のレベルを上げればいずれ分かるのだろうか。しかし、かなり強そうなスキルを持っている。やっぱり、勇者の特権なのだろうか。すると、ステータスプレートの右上、通知と書かれている所が赤く発光している。鑑定すると、どうやら発動中の効果、異常状態、レベルアップ通知が見れるらしい。

 見てみて、明らかに異常だと気付いた。そこには、毒状態、と書かれている。しかし、内容は全く関係なく、メッセージが書かれていた。そして、それを読み終えると、メッセージは消えてしまった。そこにはこう書かれていた。

『まず、この出来事は、絶体に誰にも話さないで下さい。私は、あなたのステータスプレートにハッキングしてこのメッセージを出しています。これはあなたの自由ですが、もしそのれでも良いのなら、出来る限り神殿などで、神託等、神に関する情報を集めて下さい。この毒状態の通知を選択すれば、自動的にこちらに送信されます。但し、解毒剤を飲むと、この通知も消えてしまいます。そこには気を付けてください。最後に、あなたのお友達は、必ず私が守ります。』


 なるほど、つまりこの人は情報が欲しいらしい。まぁそのくらいなら良いだろう。だが、何故ハッキングという言葉を使ったのだろうか。本来はコンピューターソフトのエンジニアリングに対して使う言葉だ、それではまるでこの世界が…いや、そんなはずは無いだろう。それに、最後の一文。あれはきっと蒼冶の事だ。となると、メッセージの送り主はかなり絞られる。恐らく、最初に見たあの女神様だ。だが、だとしたらあの人は何をしようとしているのだろうか。


 小春は平常を装いながらも、ずっと考え込んでいた。そして、筒がなく式は終わり、その日はそのまま部屋にもどり、食事も取らず朝まで考え込んでいた。

 -------------


「ふぅこれで第一段階は終了ね。あとはあの子がどうするのかだけど…。まぁ、勝手に引き剥がしちゃったお詫びに、少し手伝ってあげようか。さすがに、ばれても今は他の奴等も物理的に攻撃はしてこないでしょ。」

「姉様!あと少しで結界に当たるぜ!」

 通信が外部から届く。

「りょーかい。んじゃちょっと本気出しますかねー。……演算の90%を主砲に……座標設定…エネルギーチャージ開始。発射!当たるなよー漆神」

結界に弾が当たり、激しく発光している。

「…結界の破損確認。じゃ、いってきますね、姉様。」

ちょこっと伏線

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