思ってたんと違う
次回はヒロイン出しますので、許してください。
半説明回です。
短くてすいません。
皆さんは異世界と聞くと、何を思い浮かべるだろうか?冒険?ハーレム?
少なくとも俺、一原蒼冶は中世風の世界で冒険して、ハーレム作って、魔王討伐。そんなテンプレな展開を想像する。あの白い空間で女神に異世界転生すると聞いて、相当喜んだものだ。 (声には出さなかったが)
しかし、現実は違った。チートは使えず、挙げ句の果てには雪山で死にかける。命は消えなかったが、代わりに右腕を失った。
チートが使えない位ならまだ分かる。それはご都合設定すぎだから。しかし、どうやらこの世界は俺のファンタジー感をことごとく破壊したいらしい。
隣に立っているのは、美少女ではなく、おっさん。
そして、目の前にある物は……
六脚の足を持つ、高さ3メートル、全長10メートル程の巨大なロボットだった。全身は白く、後ろから差し込む日光に照らされて輝いている。しかし、その特徴的な八脚の太い足は、綺麗に洗えていないのか、土で薄汚れている。前面には、いくつかの目がついているが、良く見ればその一つ一つにレンズが付いていて、カメラだと分かる。その姿は、まるで巨大な蜘蛛のようだ。
「クローグさん、な、何ですか、これ」
彼の中の異世界のイメージとはかけ離れたそれに、翔は震え声で話す。
「ああ、こいつは、アルファルグって言ってな。30年位前に実験機として作られたんだ。で、俺がここに来るときに、貰ったんだ。」
聞くと、どうやらクローグさんは、その頃アルカスカ軍の兵器開発部というところに、居たそうだ。この国には、国全体的に高度な鉄道ネットワークが存在し物資を各都市に輸送しているが、その頃は、まだ一部の路線しか出来ていなかったそうだ。そこで、その代わりに物資を輸送するために研究が行われていたのがこのアルファルグだ。
しかし、当然ながら武装は必要であり、かなりの魔力を食う。その結果、魔力の消費に供給が追いつかず、とても輸送などできなかったらしい。そんな訳で、計画は頓挫したが、その時に廃棄されたアンファルグを、クローグさんが譲り受け、さまざまな改造を加えた物が、今目の前にある物だ。まぁ、鉄道が有るし、そんなにおかしくもないか。
「さすがに、魔力の供給が追いつかないから、あんまり長い時間わ動かせないんだがな、有ると無いだと、行動範囲がぜんぜん違うんだ。」
「なるほど、確かに、凄そうですね」
よくわからないが、とりあえず頷いておく。
「お前、絶対に分かってないだろ」
クローグさんがじと目で見てくる。勿論、俺は分かっていない。
「ああ、勿論お前にも、これを動かしてもらうからな。」
「へ?」
一瞬、思考が止まる。いったい何を言っているんだこの人は?
「安心しろ、ちゃんと一から教えてやる。」
「そういう問題じゃねええええええ!!!!!」
初夏をむかえた森に、翔の叫びが木霊した。