情景描写
今回は『情景描写』について。
実は、メチャ、苦手です。
もともとTRPG出身者なので、会話を書く方が得意で、地の文が苦手なのでありますが。
ライトノベル系の書き方の書物によれば、ライトノベルで大事なのは、『キャラクター』と『会話』であって、情景とかは、それほど重要視されてはいない、らしい。
が。
キャラが、どこで何をしているかくらいは、描写しておかないと、ストーリーがわかりにくいですよね。
ただ、必要以上に書かれると、読者としては飽きる。
たとえば、学校の教室。
黒板があって、教壇がある。机が並んでいて、窓から陽の光が差し込み、影を落としている。
この程度の描写があれば、読者は『ああ、あんな感じ』的なものを感じられるはず。
もちろん、ひとによって、教室の壁の色が白だったり、茶色だったりするだろうし、机だって、すこしずつ違ってはくるでしょう。教室の後ろの壁に、生徒たちのどんな絵が飾られているかというのだって、きっと違う。
でも、そこまで細かく描写する必要はないですよね。というか、むしろそこまで限定するとしたら、読者としては、その壁に張られた絵が物語にどうかかわってくるのだろうか、などと思うわけです。それで、別にそれが意味のない事であるなら、読者の『飽き』を誘いかねません。
よほどの力量のある作家さんでない限り『説明』で『引き』を感じてくれる読者は少数派です。
説明や解説は、できるだけ物語と絡めなくては、『飽き』られてしまいます。
ですが、全く状況を描かなかったら、肝心な物語が『理解できない』ことになりかねません。
このあたりのバランスは、本当に難しいと思います。
いつ読んでも素敵だなあと思うのが、藤沢周平先生の小説。
季節の色合いや街の風景を、えがくことで、すうっとその世界に入っていける。
それでいて、全然、その情景描写がくどくない。
真似したくても真似できない技術ですが、理想です。
小説の情景描写は『場面の説明』であると同時に、登場人物の『感情』を落としこむためにも使用します。
同じ青空をみても、爽やかさを感じる日もありますし、徹夜明けなんかは灰になりそうな気持ちにになることもあります。
小説の文字列というのは、ある意味『情報の塊』なので、過不足なく、読者に与えることが物語を作るうえで必要なのですが……難しいですね。




