緩急
物語には、緩急が必要です。
なぜなら、緊張に緊張を重ねていくと、とても疲れますし、何より、慣れてしまいます。
ゆえに、張りつめた糸は、一度どこかで緩めてやれば、同じ強度で引っ張っても、もう一度緊張感が戻ります。
などと、理論はわかっているのですが、現実にストーリーの緩急というのは非常に難しいです。
緩めすぎれば、話が見えなくなることもありますし、張りつめすぎてもダメ。
私は、恋愛シーンを緩めるのに多用しますが、逆に、恋愛ものの場合、恋愛以外で張りつめさせておけば、話が甘さ一辺倒にはなりません。
私は、物語をその日に書くときに、シーン目標を一個作ります。
目標と言っても、くだらないですが。「○○の事実を話す」とか、「○○にキスする」なんてのもあります。
特に、ゆったりとしたシーン(戦闘などではないところ)などは、明確に。
緩めるシーンでの目標というのはとても大切で、それがしっかりしていないと、話を見失ってしまう気分になるのですね。それこそ、『このシーン、いらん』と思ってしまいます。
なんというか、無駄なシーンというのを作ってはいけないという強迫概念があると申しましょうか。
何を持って、無駄というのかは、そのお話や作者によって違うと思うのですけれどね。
けっして、せっかちではないとは思うのですが、私は、できるだけお話や人物を小さくたたみたいと思うところがありまして、出来るだけ余分な人物を出さない、いらんエピをつけたさないというのがいつも念頭にあります。
人間がヘタレなので、完結への難易度が上がるような風呂敷の広げ方をしないように怯えているともいえますね。
この貧乏くさい性分のせいで、緩急とか山谷以前に、スケールが小さい話しか作れないそんな気もしなくはない今日この頃であります。