エロは描写力がいるよね。
前にも書いたかもしれませんが、私は昔『あなたの小説にはエロが足りない』と言われたことがあります。
もう二十年近く前のことであります。恥ずかしながら、当時、恋愛経験などほぼない干物女でありましたし、若さゆえの潔癖性もテレもありましたから、ある意味では当然だったのですけどね。
年を経ても、巧くなったとは言い難いです。それに、小説に必ず『エロ』が必要か、と言われれば、『絶対ではない』と、答えてしまうタイプではあります。
しかし、生死が絡むような話であれば、あるほうが自然なのかもしれない、と思うようになりました。
ひとは『死』を意識する時、『生』について考えます。
子を産む前であれば、母になりたかったと思うかもしれません。
母であれば、子の将来を考えます。
男女であれば、いわゆる性行動は自然。これは『子孫を残したい』という意図がないにしろ、本能行動に走ることで、現実を忘れるという逃避でありますが、『生』への渇望が滲む行為であります。
エロというのは、本能的な行動ですから、『生』への強い欲求とも言えるかもしれません。
さてさて。アダルトな『エロ』までいかなくても、ちょっとした『ラッキースケベ』というのは、全年齢に好まれます。女性にはふんわり雰囲気。男性にはガッツリ視覚という傾向はありますが。
どんなに清純無垢な少年、少女だって、『性欲』はあるのです。
ただ、どこまでを要求するかというと、性差、年齢などによって変わるとは思いますが。
私個人の趣味で言えば、エロはあってもいいけど、エロだけではなあ、と思う方ですね。ですから、ムーンやノクターンだと、どちらかといえば、もっとストーリーが読みたいなあと思うことが多いのです。そうでない作品ももちろんありますけれども。小説としては、なろうのほうが好き。
キスシーンくらいなら、どうということはないのですが、濃厚なラブシーンというのは、ある意味で『物語が止まる』ので、必然じゃない場合は、邪魔になることもあります。
映画『ターミネーター』のように、そのシーンが、のちのち大切なプロットなら別ですが、そうでない単なるサービスシーンの場合、例えば『悪漢に追われている』なんてシチュエーションだったら、ストーリー的に納得できるような細心の注意が払ってない限り、そんなことやってる場合じゃないぞと、ツッコミがきます。
私はR18シーンそのものより、そこへ行く手前の寸止め的な葛藤が好きな傾向があります。
ゆえに、私の話はR15なわけですよ。筆力が足らないという理由もありますけど。
私にとっては、エロはあくまで話のスパイスであり、メインディッシュではないのです。
まあ、恋愛自体が、ストーリーの箸休めの感覚で書いているタイプなので、エロもしかり。必然じゃない恋愛やエロなら、いらないと思ってしまう方ですから。
しかし。例えば、少年が、少女の入浴シーンを見てしまう(だけ)みたいなシーンに、ゾクリと色気をしのばせる作家さんというのは、やっぱり巧いですよね。
エロというのは、描写力が問われるもの。溢れる艶やかさ、淫らな色気なんて、書こうと思って書けるものじゃない。そういうシーンが巧いひとは、結論的に言うと、何書いても巧いですよね。
新春早々、エロシーンを書こうとして、結局、挫折した秋月でした(苦笑)