そうだ! 小説を書こう!
今回は今さらながら、設定と小説の書き方について。
おめーが語るな! というごもっともなお声が聞こえてきそうですが、たまーに(ほんのたまに)初心者の方もお読みいただいているようですので。
昔、TRPGのGMをしていたとき、シナリオはたいてい三行しかつくりませんでした。
おそらく、小説で言えば、これがプロットですね。
たとえば。次に書くのは実際にやったシナリオ。ちなみにモンスターは出てこないので、割と汎用シナリオとして使えます。
冒険者たちが村に訪れると、天候がくずれはじめた。
最初に雷が落ちて、Aの家が壊れた。水が増水し始める。川が流木でせき止められる。
村人を避難させ、ダム状態を解消して、洪水の被害を最小限にする。
TRPGというのは、キャラクターや魔法等については、ルールがありますので、それは作る必要がないので、これだけあれば、ストーリーはほぼ作れます。
あらかじめ作っておくのは、村人数名+地図。最初に壊れる家と川のせき止められる場所。ある程度の解決法。
で、あとは、プレイヤーのノリを見ながら調整します。TRPGというのは、ガチガチにつくってしまわないほうが、臨機応変に対応できる傾向が(私は)あると思います。
でも、小説をこれで書こう! と思って、すぐは書けません。
理由は、圧倒的にデータが足りないからです。
小説の場合、この内容で書こうと思ったら、上記で作った設定の他に、まずルールブックでまかなっていた世界設定と主人公たちが必要です。
ただ、ゲームをやったことがある人はよくわかると思うのですが、ルール設定って、実は『雰囲気を共有するため』のものなのです。それこそ、冒険者が、和服を着ているか洋服を着ているか、素っ裸なのか。異なる世界に自分を投影する、とっかかりのためのもの。
つまり、小説の世界設定というのは、小説を読みだしたら、ストレートに読者に認識されて行かなければいけないものです。
ただ、これ、細かく描写をやられると、非常に読み手は疲れます。
設定は細かくてもいいのですが、描写は全部する必要はないのであります。
ストーリーに関係あるところは細かく、そうでないところはざっくり。これが理想。
そうでないと、主人公の服装描写を読むだけで飽きちゃう読者もいます。
というわけで、設定の大半は作者だけが知っているぜ! と、ほくそ笑むものだと心得ましょう(苦笑)
次に、小説の場合は、まず、ラストをしっかり決めます。
上記ストーリーの場合、洪水を回避、村人を避難させ、豪雨をやり過ごし、晴れ渡った空の下、壊れた家の片づけをしてエンド(地味だけど)としましょう。
これを決めておけば、構成を特にしてなくてもエタりません。
きちんと、プロット立てをしたいのであれば、まず、事件が起こるタイムテーブルを作っておき、そこからプロットを組み立てると良いです。
さて、ゲームだと、『さあ、君たちは○○村にやってきた。もう夕刻近い。天気が崩れそうだ』
なんてやって、宿屋に誘導するのがベストの冒頭なのですが。
小説で、その冒頭は、引きが弱い。
そこで、主軸の洪水シナリオの他に、横軸にどんな話を展開させるか、考えるとよいです。
主人公が旅をする理由とか、村娘との恋とか、村内のいざこざとか。
初心者の場合は、できるだけ欲張らず、横軸は『わかりやすく』『最小限』がいいです。
そうでないと、縦軸の『洪水』のカウントダウンが読者に聞こえない展開になりますので。
このシナリオの場合、冒頭の目標は、川沿いを歩いてきてあらかじめ『本来の水量』を主人公の目線で確かめるということと、天候変化の空模様の描写を自然に行うということが一番で、あとはキャッチーなフレイバーをつけて始めるのが、ベスト、と思われます。
もっとも、これを小説にすると、かなり地味です……やりようによっては、パニックもの系として面白くなるかもしれませんが。