ダンジョンテクニック
今回は、TRPGのGMならたぶん、知っている、ダンジョンテクニックについて。
TRPGのハウツー本にフツーに書いてあることだと思うので、それほど奇をてらった内容ではありません。
今時、ダンジョンで、モンスター倒して、宝が手に入る! というだけの小説はほぼ皆無でありますが、TRPGのシナリオの世界っていうのは、特に初心者入門編として、よく扱われます。
初期のTRPGのひとつ、D&Dが、文字通りダンジョンを攻略するゲームだったことがわかるように、ダンジョンというのは、TRPGの定番。
なぜか。
それは、順路が決まっているからです。
おこるイベントは決まっていて、キャラがわき道にそれていく可能性が非常に小さいです。
プレイヤー側も、GM側も、ただ、ひたすらダンジョンを進み、モンスターを倒すだけを念頭に置いていればいい。
しかし、これ、何回もやると、やっぱり飽きます。それで、ダンジョンを複雑な形にしてみたり、トラップをしたり変化をつけたりするのですが。
A 入り口
B トラップのある部屋(Dのモンスターの弱点を書いた書物)
C Dの部屋の鍵
D モンスター (財宝)
こんな感じのシナリオを作ったとします。
A→B→C→D と、進むとすると、完全な一本道シナリオの印象が強いのですが、ここのBとCをどちらか選べる形で進むと、自由度が高くなったように見えます。
でも、A→Bの場合、Cの部屋に入らないかもしれない。逆もあり得ます。
もちろん、それもありで、Bを通らないときは、Dのモンスターの攻略難度は死人が出そうなくらいに設定しておきますし、Cを通らず、Dの扉の鍵を力技で壊すことは、可能であるケド、難易度高めにしておくのです。
全部通れば、最終局面の戦闘難易度は下がります。ただし、たどり着くまでにキャラクターがある程度消耗しているのは間違いございません。
一応、完全ではないですが、シナリオの難易度は、ある程度平均化していると思います。
どうしても、BとCの両方を通らせたい場合は、BとCの部屋の間に扉を作ると、両方通る確率が上がります。
プレイヤーの性格によりますので、なんともいえませんが。
これは、TRPGのお話なのですが、小説の場合でも、『一本道』ストーリーを、『紆余曲折』したように見せるテクニックにも通じるかと思います。
具体的には、主人公が『迷う』『悩む』『選択する』というシーンが入っているかどうか、ですね。
わかりやすい例ですと、たとえば、ヒロインのA子が、幼馴染の男子B雄と結ばれるのでも、A子にアタックするC太郎が現れて、最初から気持ちはB雄に向いていて揺るがなくても、C太郎とB雄を比較して『選択すれば』恋愛ものとしてストーリーは成立します。
物語を広げ過ぎてしまって、閉じるのが苦手だと思われる方は、一度、その作品をダンジョンにたとえるなら、どんなコースをたどっているか考えてみるといいかもしれません。
枝葉状に際限なく伸びていくコースだとしたら、どこかで集まってくる場所を考えなければ、絶対にラストのイベントの部屋にはたどり着きません。
本当にすぐれた作品は、一本道をそうと感じさせない作品なのかな、と最近思います。




