欲望
人間の三大欲求は、食欲、睡眠欲、性欲だそうですが、実際には、さらに複雑な要素、例えば名誉欲や金銭欲などもあると思います。
小説において、登場人物を『リアル』に動かしたければ、やはり『欲』というものを考えなければいけません。
『欲』という言葉は、マイナスイメージがつきまといますが、『守りたい』と思う『保護欲』など、プラスイメージの感情も、『欲』であります。
人間は、能動的に追い求める『欲』と、本来はしたくないけどしなければならないという『義務』で動くと思えば、ほぼ間違いないでしょう。
登場人物が、ストーリーの中で『無理なく』動くためには、『欲求』を持って動くことです。
例えば、『モンスター退治して、村を助ける』という仕事があって、登場人物がそれを『引き受ける』のには、『義を見てせざるは勇無きなり』という建前だけでは弱いです。
金銭的報酬という金銭欲、助けて崇められたいという名誉欲、はたまた、可愛い女の子にモテたいという性欲、などのいくつもの『欲』がからみあってこそ、死闘に向かう理由にもなるというものです。
「欲で動くなんてカッコワルイ」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが。
TRPGで、GMをした経験からいえば、『人は欲の為に動くのが一番、積極的』なのであります。
『命令』されて動くより、『金が欲しい』と思って動く人間の方が、ギラギラ、ガツガツします。でも、それは、決して悪いことばかりじゃない。
例えば、学校で仕方なく勉強するより、自主的に本を読んだ方がはるかに頭に入ります。
人に迷惑をかけないのであれば、『欲』はあってもいいのです。
小説で『どうしてこのキャラはこうするのか?』と疑問に思う場合、その人物の『欲求』が常に抑制されているのかもしれません。
すべての登場人物に、欲求があるのは間違いないケド、それを全部表現するのは、確かに難しいことです。でも、流されているだけの人物でも、『本当はこうしたい!』という想いが伝われば、その人物は活き活きとして見えてくると思います。
正直、義務感ばかりで動くキャラは、書いていて辛いです。
義務感のむこうにある、義務を果たして得たいものという欲が見えると、はじめて人物が生きてくるように思えたりします。
でも、欲深い私は罪深い(苦笑)