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加工品は本来、高いのです

いつもありがとうございます。

 輸入品が大量に出回るせいで、物の値段というのが、よくわからない時代になりました。

 例えば、子供服。ブランド品は別として、安売り店に行けば、千円でお釣りがきます。

 ところが。自分で布を買い、糸を買い、ボタンを買って……などとしていたら、千円は軽く超えます。服は既製品を買った方が、圧倒的に『安い』時代です。もはや、お裁縫というのは、趣味であって、技術が高くなければ、家計を助ける節約にはまったくならないのであります。

 今ではあまり流行らなくなりましたが、女子の手作りプレゼント定番、手編みのセーター。あれ、『お金のかからないプレゼント』だと男性で思う方、いらっしゃるかもしれませんが……純毛ウールの毛糸なんて、材料費だけでかなりかかります。正直、安物のセーターならお釣りがくるお値段です。それにさらにプライスレスの膨大な作業時間。出来栄えが良かろうが、悪かろうが、女子にとっては、いろんな意味で超たいへんなプレゼントな訳なので、そんなプレゼントを手にする機会がおとずれました男性諸氏は、『重い』愛情を優しく受け止めてやってくださいませ。

(手編みのセーターは重量が1キロ超えますので、リアルに重いです)


 さてさて。

 産業革命より前で、ほぼ国内だけでモノが回っていた時代というのは、基本、物の価格というのは工程や、手間に比例するものでありました。

 高田郁先生の江戸時代の女性料理人のお話である『みおつくし料理帖シリーズ』では、『かまぼこ』が超高級品として出てきます。

 最初、読んだ時、『かまぼこ』? と思ったのですが、これを実際に手作りする手間とか考えると、非常に納得なのであります。魚の白身を寒いところで石うすで擦って、丁寧に、板に擦り付けてから、加熱する。実に面倒な食べ物です。

 ちなみに、かまぼこの歴史は平安時代から。商品として売り出されるようになったのは江戸期からだそうです。

 現代でも、高級蒲鉾はそれなりに高いですが、職人さんの手間、材料費など考えるとそれは当たり前かもしれませんね。

 ちなみに。『みおつくしシリーズ』は、江戸期の庶民の食生活を中心に描かれておりまして、歴史の本ではわかりにくい庶民の空気感が伝わってくる傑作です。時代小説としては、非常に読みやすいお話ですので、時代小説入門編としても、おすすめです。チャンバラはありませんが。


 ファンタジーの世界の場合、たいていは産業革命より前で、それほど貿易でガンガン日用品が入ってくる状態ではないので、加工品というのは、それなりに高い、と考えるのが妥当です。もっとも、この価格というのは、やっぱり最初の原材料費が重要になってきます。

 ただし、食料品に関して言えば、冷蔵庫がない世界では、生鮮食品は加工品より『高い』可能性があります。

 例えば、江戸っ子の好きな『初ガツオ』。足が速いので、午前中はべらぼーに高いけど、午後はほぼ買い叩き状態だったらしいです。鮮度はなにものにも勝る高級品でございました。

 ちなみに『初ガツオ』は加工したら、当然、価値が下がります。『お刺身』で食べて、なんぼ、な、食品価値なのです。ついでに言うと、午後、値段がこなれてしまうと見向きもされなくなってしまうものだったらしい……江戸っ子って見栄っ張りですね。


 余談になりますが。

 お話を作る場合、たくさんの人が手を加えれば加えただけ価値が上がるか? と言われると、そうでもなかったりします。

 映画などでは、クレジットにたくさん脚本家がいたりしますけれども。たくさんの人数で脚本を書いたからといって、作品レベルが上がるわけでもなく……ある一定の水準に持っていくことは可能なのかもしれませんけど。

 創作というのは、凡人がどんなに知恵を出しても、一人の天才に勝つことはできない世界だな、なんて思ったりします。



次回は、吸血動物……もしくは人称の話の予定です。

どちらにするか、ちょっと迷っています。

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