第九章用語解説 《登場順1》
海の魔物に対する注釈
アーヴェルカインは他種族との交流が殆ど無いので海戦技術が発達しておらず、必然的に海中、水中での戦闘技術が拙い者が多い。泳力に関しても同様で、人間で泳げない者の比率は8割に上る。これは世界的な平均であり、例えば内陸のドワーフなどはほぼ全員が泳げず、身体的にも水に浮きにくい特性を持つ。
つまり、海の魔物は総じて難敵であり、ランク通りに捉えると格上のはずの冒険者でも容易に死亡し得るのである。冒険者ギルドでは海の魔物と海で戦う時は倍のランク保持者である事を推奨しているが、これにまともに当てはめるとⅤ(フィフス)以上にランクされている海の魔物と海で遭遇する事は死を意味している事になる。
とどのつまり、海で魔物に遭遇したら逃げるのが最上である。
ホーンドフィッシュ(角魚)
硬度の高い角を有する有角魚。頭部の角は攻撃時には回転し貫通力を増す事が出来る。
単体での危険度はⅢ(サード)であるが、基本的に群体で行動し、その場合のランクは2倍のⅥ(シックスス)に跳ね上がる。
稀に迷い込んだ単体のホーンドフィッシュが漁師に捕らえられる事があるが、非常に美味であり高級食材として知られている。
毒や電撃に弱く、物理防御力も貧弱。
エンペラーシャーク(皇帝鮫)
超大型の鮫型魔物。悠の遭遇した個体はその中でも更に大きく、レイラの測定では30メートルを越えていた。
高硬度の楯鱗と半身を千切られても死なない生命力、獲物に対する偏執的な執着を持ち、海で皇帝鮫に遭遇する事は高確率の死を意味している。
泳力も高く、20ノット以上(時速40キロ前後)。
魔法的な特殊能力を有さないという一点でⅨ(ナインス)に叙されているが、Ⅹ(テンス)に認定されても異論は出ないだろう。
打ち上げられた死骸から剥ぎ取った楯鱗を張り付けた盾や鎧は物理防御力が非常に高く、超高級品。ちなみに残念ながら肉は不味い。
水精族
妖精族の一種。水の属性を強く宿し、同時に水に対する抵抗力が非常に強い。
水の中で集団生活を営み、独自の文明を持つが臆病で人前には滅多に姿を現さない。プリムは稀有な例外と言える。
飛行能力を有しているように見えるのは、体内の水を海気によって本能的に動かしているだけで厳密には飛行している訳では無い。ゆえに、海気が枯渇すると飛行不能になる。
妖精族
火精族、風精族、水精族、土精族、光精族、闇精族が知られている。未確認だがそれ以外の種族も存在するらしい。
積極的に人型種族と関わる事は無いが、気紛れな個体が気に入った者と行動を共にする事は昔からあったようで、幾つかの文献にその記録が残っている。
戦闘能力は総じて低いが、過去には英雄に力を貸したと言われる記述もあり、謎は深い。
海王
世界の海を統べる存在。海の住人達の王。
初代海王は創生の神によって作られ、海の安寧を保つ役割を担っていた。
女性しか存在しない単一種族であり、代を重ねる毎に弱体化する業を背負う。
大抵の人型種族と交配可能だが、相手の生命力を強力に吸収する為、殆どの場合命を落としてしまう(相手が)。
『飛燕』
一方向の攻撃に目を慣らし、そこに全く異なる角度からの攻撃を混ぜる体術。悠は拳で行ったが、それ以外でも行える。
目という感覚器官に頼っていない相手には効果が薄い。
『指穿水』
指の先から圧力を加えた水を放つ技。要は凄い水鉄砲。
『穿水蒼射』
フェルキュラスの指や触手といった多数の器官から同時に高圧の水を放出する一斉掃射。要は超凄い水鉄砲。
『界外』
この世界の外の住人という意味では無く、神々を指す言葉。海王の使命には『界外』の排除も含まれている。
海気
水精族や海王が操る力。人間でいう所の魔力。
魔力よりも出力が高く隠蔽性に優れるが、水属性以外の属性と相性が悪く、火属性に至っては完璧に魔法陣を形成し充填しても発動すらしない。
マルチアームドエイプ
腕が3本以上ある猿の魔物。群れで行動する事が多いが、年経た個体は単体行動を取る事もある。
腕が多いほど強力と言われ、6本以上の多腕個体は武器を使用する例も確認されている。ランクはⅣ(フォース)。
肉は筋張っていて美味しくない。
『腐食』
腐敗魔法。ただし、生きている者に対しては効果が無く、腐敗促進魔法と言うべきかもしれない。
倒した魔物の処理に用いられる他、闇属性としては珍しく不死系のゾンビなどにも効果がある。
『隼眼』
俯瞰視&遠隔視の能力。アルベルトの場合、大体1キロ前後の範囲を見渡せる。
『千里眼』
生命体捜索の能力。その人物の名前、特徴、所持品などを揃える事により精度が上昇する。
『静眼』
動体視力超向上の能力。コロッサスは元来この能力を持っていたが、幼い時に片目を無くした際に殆ど封印状態にあったと推測される。
身体能力向上能力では無いので、これを生かすには本人が体を鍛える必要がある。
『絶刀・不知時』
『絶影』を超える神速斬撃。『竜気装纏』の身体能力を脳のリミッターを外して再現した為、バローは体中の筋繊維断裂という地獄を見た。
ヒュージロータス
美しい花を咲かせる水辺の花。その葉は5メートルを超える物もあり、人間が乗っても沈まない。採取しても弾力が失われず、金属装備を身に付けられない後衛職の防具として用いられる。
『龍角』
持っているだけで強くなれるチートアイテム。グ○ウエッグ。
かと思いきや生命力を吸い取り加齢させる呪いの装備。外せない。
洗脳能力と寄生能力があり、体に埋め込むと一層強く効力を発揮する。身に着けているだけでも一定期間を過ぎると勝手に寄生し持ち主の体に根を張り操る。
人間の場合は持っているだけでみるみる年を取る上に弱くなるという殺人兵器。
『海王氷雹礫』
海水を集め、高高度に浮かび上がらせる事で凍結し、そこから対象に向かって打ち出す大技。別名『氷塊隕石』。
海王専用魔法であり、魔力では出力不足で発動しない。
『風蛇』
空気を蛇状の仮想生命として操る風魔法。軽い物程度は動かせるが、重い物や流体には殆ど効果が無い。
ただし、発動・速度共に非常に速く、使いようによっては役に立つ。
『大鉤重水斬』
大量の水を鉤状に固めて投げ付ける技。そのまま接近戦で武器として使う事も出来る、海王専用魔法。
『海蛇鞭』
水の鞭。真の姿でフェルキュラスがこれを使った場合、長さが50メートル以上にもなり、更に伸縮自在で質量も大きく非常に攻撃力が高い。
サイズダウンするが、魔力でも使用可能。
『海蛇盾』
渦巻く水の盾を作り出す魔法。水本来の抵抗力と渦による拡散効果を有し、『水幕』とは比べ物にならないほどの防御力を誇る。
サイズダウンするが、魔力でも使用可能。
『蒼海渦連砲』
『穿水蒼射』の拡大版。要は鬼凄い水鉄砲。
『極光壁』
熱と反射によって攻撃を遮る光の壁を作り出す技。理論上殆どの攻撃を無力化出来るが、アポクリファを殺す力を込めた悠の竜砲には抗せず砕け散った。
『無限縛牢陣』
対象の周囲にランダム接続された空間超越孔を作り出し、攻撃を無限連鎖させる技。事実上、制御が続く限り一方的に攻撃し続ける事が可能である。
明日までには用語は終わらせます。




