1-1 プロローグ
初投稿ゆえ、拙い文章や設定はご容赦下さいませ。
飛んでくる火の球はとてもゆっくりに見えました。
でもわたしの体もとてもゆっくりとしか動かなくて、よけられそうにありません。
わたしは動くのをあきらめて、ただ自分にむかってくる火の球を前に目をとじました。
焼かれている時までゆっくりだったらやだなって思いながら。
ともき君みたいに、体じゅうやけどしてイタイイタイって泣いてベッドですごすのはやだなって思いながら。
……でもこれでおわるんだなって思ったら、ちょっぴり涙がでました。
そんなことを考えてるあいだに、火の球はもうすぐそばまで来ているのが音で分かりました。
(さよなら、みんな。さよなら、このイヤな世界。さよなら……お母さん、お父さ――)
「戦闘中に目を閉じるな、少女」
突然話しかけられたことにびっくりして、わたしは思わず目をひらきました。
そこには――いつの間にか、人のカタチをしたドラゴンがいました。
いえ、ちがいます。 ドラゴンみたいなヨロイを身につけた人がいました。片手には、わたしを殺すはずだった火の球をにぎりしめて。
「お、おとう、さん?」
「自分には君くらいの子はいない」
やだ、わたし、何を言ってるんだろ! 何を言ってるんだろ!!
「混乱しているようだな。後は自分に任せて少し休むといい」
そう言ってその人は火の球をにぎりしめている方と反対の手でわたしの頭をなでてくれました。
大きな手、そしてとてもあたたかい手でした。
《おやすみなさい》
どこかで女の人の声が聞こえたような気がして――わたしがおぼえているのはここまでです。
それがわたしたちの先生、神崎 悠さんとの出会いでした。