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神様になる前にもう一つ世界を救って下さい  作者: Gyanbitt
第五章 異世界修業編
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5-67 フェルゼンの休日2

一方、こちらは女性陣である。


「さぁ、私達はどうしましょうか?」


ミリーが年長者兼保護者として音頭を取ると、他の面々も自分の希望を口に出して行った。


「おかしがほしいです!!」


「かわいい小物が見たい!」


「た~べ~あ~る~き~」


「おさいほうの道具を見に行きたいです」


「なら私もそれかな?」


「あたしは体を鍛える道具が欲しいぞ!!」


「私はどこでもいいわよ。どれを見ても楽しめそうだし」


「拙者に希望は無い。行く所に付いて行こう」


ミリーは年齢順に聞いて行き、食べる物が半分、買い物が半分と頭の中で割り振っていったが、数が一つ足りない事に気が付いて意見を述べていない者に問い掛けた。


「ソーナ、貴方はどうしたいの?」


何かを考え込んで意見を言っていないのは蒼凪であった。ミリーに声を掛けられて、蒼凪は自分の考えを皆に話した。


「・・・私は・・・悠先生に何かお礼になる物を、あげたい・・・」


その蒼凪の発言には全員虚を突かれた。皆悠に感謝の気持ちは持っていても、そこまでは頭が回らなかったのだ。


「自分達の・・・稼いだお金じゃ無いのが残念だけど・・・何か、悠先生の役に立つ物を探して・・・贈りたい、な」


蒼凪は心底悠に対して深い尊敬と愛情を抱いているが、それを形として表せない事に忸怩たる物を感じていたのだ。料理では恵に全く敵わないし、取り立てて武術の才能がある訳でも無い蒼凪は悠が喜ぶのなら自分自身を差し出しても何の後悔も無いどころかむしろ受け取って欲しいのだが、悠といつも一緒に居るベロウと違って悠が煩悩や下心を見せる事は無いのでそれも無理だろうと分かっていた。


ならばこの機会に(せっかく悠も居ないのだから)、こっそり悠へのプレゼントを用意したいというのが蒼凪の願いだった。


「へぇ・・・いいんじゃないかしら? 皆はどう思う?」


ミリーが改めて皆に問うたが、当然誰も反対意見を言う者は居なかったのである。




「・・・さて、それじゃあ何を買うかっていう事なんだけど・・・誰かいい案がある人は居ないかしら?」


街の食事処で少々のお菓子と飲み物を頼んで作戦会議を開いた女性陣は悠が好みそうな物や役に立ちそうな物を列挙していった。


「こういうおかしとか~、いいんじゃない~?」


「いいとおもいます!!」


「それでよろこぶのはアンタと明ちゃんでしょ、かぐら」


「んー・・・服系の物は恵が居るから要らないと思うんだよねー」


「そうね、そうすると・・・武器とか防具とか?」


「カロンさんとカリスさんが居るんだからそれも要らないと思うよ? カロンさん、凄く有名な鍛冶師さんなんだって」


「お菓子や、お料理も、特産品じゃ無いなら恵さんが居るから、要らないと思う・・・」


「わたしたち、まだ悠先生に付いて行った事が無いからよく分からないね・・・あの、ミリーさんやシュルツさんは何を買ったら悠先生のお役に立つと思いますか?」


子供達は悠がどの様な冒険をしているのかまだ見た事が無かったので、悠と行動を共にしているミリーやシュルツに小雪が意見を求めた。


「うーん・・・あんまり深く考えなくてもいいんじゃないかしら? ユウ兄さんならきっと何を貰っても喜んでくれると思うわよ?」


「それは違うぞ、ミリー。何を贈ってもいいからこそ師の役に立つ物で無ければならんと拙者は思う」


「それはそうだけど・・・正直、ユウ兄さんって、何も無くても十分なのよね・・・。レイラさんも居るし・・・あっ!?」


そこでミリーは妙案を思い付いたらしく、子供達に向き直って言った。


「今思い出したんだけど、ユウ兄さんは今回の修行が終わったら何日かレイラさんを使えなくなるって言っていたわ!! 『竜騎士』になったり空を飛んだりっていう事も出来なくなるんだって。でもその後に結構危険な依頼があるんだけど、その時に怪我をしても治せる様に、『治癒ヒーリング』の能力が込められている指輪を贈るっていうのはどうかしら? もし使わなくてもお守りにはなると思うんだけど・・・」


「ふむ、拙者は賛成だ。師が怪我をするほどの状況ならば必ず役に立つだろう」


「いいと思います。・・・けど、それって魔道具っていう物ですよね? 結構お高いんじゃなかったですか? 確か神奈のナイフとかでも金貨10枚くらいするんですよね?」


ミリーの提案は反対無く受け入れられたが、樹里亜が金銭的な事をミリーに質問した。


「半永久的に使えたり、恒常的な効果を持っている物は確かに高いけど、使い捨てに出来るような物はそこまで高くないわよ。それでも『治癒薬ポーション』よりは高いから余裕が無いと買えないけど、今の私達なら手が出ないほどの値段じゃ無いわね」


「良かった・・・じゃあそれにしましょう!」


「「「賛成!!」」」


こうして満場一致で悠へのプレゼントを買う事に決めた女性陣は、魔道具を取り扱っている店を探して再び街へと繰り出して行ったのだった。・・・何故か休日に余計な事をしている男性陣に比べて非常に生産的であると言えよう。

ナチュラルに忘れられているベロウ。大丈夫、きっとミリーは覚えている・・・はず。

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