第四章用語解説 《登場順2》
続きます。
ワイバーン(飛龍)
ドラゴンに似た姿形を持つ魔物。体長は3メートルほどでランクはⅣ(フォース)。
ドラゴンとの誤認が絶えず、度々ギルドに報告される悩ましい魔物である。
ブレス(吐息)などの能力は無く、単純に飛行出来るのみであるが、卵から育てる事で飼い慣らす事が出来る為、卵はかなりいい値段で取引される。
『炎の矢』
最も基本的な火属性魔法。炎で出来た矢を対象に飛ばして攻撃する。
矢の数や熱量は術者の力量や注いだ魔力に比例し、上級者であれば1本だけを高速展開して飛ばしたり、100近い矢を生み出したりも出来る。
呪文は「(名前)が奉る。炎の矢よ、敵を撃て」
『氷の蔦』
水属性の中級魔法。氷の蔦を這わせ、命中した対象を凍り付かせる。
広い場所では効果が薄いが、狭い場所では無類の強さを発揮する。
呪文は「(名前)が奉る。氷の蔦よ、我が敵を縛めよ」
『降雷』
風属性の中級魔法。幾筋もの雷を落として対象を感電させる。ライトニングシャワーとも呼ばれる。
広範囲の敵を一掃する事に有用で、魔力の増減で威力の調整も可能。
呪文は「(名前)が奉る。雷よ、驟雨となりて降り注げ」
『付与魔術』
自らの身体能力を引き上げたり、武器や防具に属性を付与したりする魔法。
身体能力の上昇幅は10%~30%で、重ね掛けによる重複はしない。
『付与魔術』に適正がある者は更に高い効果を引き出せるが、自らも鍛えていなければ意味が無いので、パーティーでサポートに回るのが普通である。(『付与魔術』を使う者は主に魔法使いとして扱われている為)
アイオーンの様に自身を強化して戦う『付与魔術』使いは稀。
『力の付与』
対象の筋力を上昇させる魔法。自分だけで無く、他の対象に掛ける事も出来る。
呪文は「(名前)が奉る。力よ、我が身に宿れ」
『敏捷の付与』
対象の敏捷(速度)を上昇させる魔法。自分だけで無く、他の対象に掛ける事も出来る。
呪文は「(名前)が奉る。速さよ、我が身に宿れ」
『竜器使い』『竜騎士』の自己強化
『竜器使い』や『竜騎士』は竜によって身体能力を常に向上させている。その幅は『竜器使い』で2倍、『竜騎士』では4倍に及び、更に『竜騎士』は着装(もしくは変身)する事でその幅を10倍にまで引き上げている。
『風刃』
『付与魔術』の一つ。風の魔力を武器に付与する。ウィンドブレイドとも呼ばれる。
風の魔力は自らの意志で斬撃として飛ばす事も出来、武器の切れ味も上がる。
呪文は「(名前)が奉る。風よ、我が武器に宿れ」
魔法のプロセス
魔力回路の作成、呪文(詠唱)、魔力の供給、発動の四行程からなる、アーヴェルカイン独自の技術。
召喚された子供達はこの内の呪文(詠唱)に当たる部分を教わっておらず、全員無詠唱魔法で戦う事を余儀なくされていた。無詠唱は魔力のロスを招き、威力や範囲の低下を引き起こす。
詳細な説明は長くなるので割愛するが、まずは魔力で魔法陣(回路)を描き、そこに呪文に沿って魔力を注入、回路が魔力で満ちた後に発動させる事で様々な現象を引き起こす。
魔法回路
魔法の設計図。これに魔力を流す事で魔法は発動出来る状態になる。
呪文(詠唱)
魔力の運用計画書の様な物と思って貰えばいい。例えば形や大きさの違う器があるとして、それにどの程度の魔力を注げばいいかを記した物が呪文(詠唱)である。
これを省略する場合、全ての器に均一に魔力を注ぐ事になり、結果その溢れた分の魔力がロスになる。
呪文とはただの発声ではなく、むしろ言霊に近い。
殆どの魔法は「(名前)が奉る」という言葉から始まる。
『分体』
『顕現』によって作り出されるレイラの分身。
分身と言っても幻影や幻覚では無く、独自の思考が可能な存在であり、レイラと同期している訳では無い。
レイラの能力を限定的に使用可能であり、唯一本体のレイラだけが『分体』を統合する事が出来る。
『万能薬』
文字通り、万能の効果を持つ魔法薬。毒や麻痺は勿論、魔法による眠りや呪いなども癒す事が出来る超高級品。1本の価格は金貨100枚である。
悠もベロウも『万能薬』が入っている事をまだ知らない。
『伝心の水晶球』
各冒険者ギルドに置かれている水晶球。離れた相手と交信する事が出来、映像も浮かび上がる。
通信を受けると点滅し、その点滅パターンでどこからの通信であるかが分かる仕組みになっている。
『風槍シルフェ』
アイオーンが冒険者時代から愛用している槍。吹き抜ける風を想起させる美しい装飾が施されている。
魔道具でもあり、風の魔力を増幅する効果を持つ。
『カロンの槍』
アイオーンが冒険者時代にカロンに打って貰った槍。装飾は少なく、一見普通の槍の様に見えるが、穂先から人を惹き付ける不思議な魅力を放っている。
悠に武器に頼る心を指摘されて第四章ではこちらに持ち替えていた。
ジャイアント(巨人)
巨大な人間型の魔物。その体長は4~8メートルにもなる。ランクⅤ(フィフス)の魔物だが、数体纏めて行動している事もあり、その場合はランクⅥ(シックスス)になる。
亜種も確認されており、人間と同じ肌の色をした最もノーマルな個体のフォレストジャイアント、白い肌を持ったアイスジャイアント(氷の巨人)、赤黒い肌を持ったファイヤージャイアント(炎の巨人)など、属性を帯びた種類も存在する。
基本的に力が強く、大きさの割に俊敏で逃げにくいが、弱点や急所も人間とほぼ同じなので心臓や内臓、脳などを破壊されると死に至る。悠は初見の際に一体を延髄破壊、もう一体を脳髄破壊で倒した。
フォレストウルフ(森林狼)
通常の狼より二回りほど大きな体を持つ魔物。基本的に群れで行動し、ランクⅣに位置づけされているが、通常個体単体であればⅢ(サード)程度である。
群れには必ずリーダーが存在し、他のフォレストウルフを統率しているので、出会ったらまずリーダーを討ち取ると連携能力にヒビを入れる事が出来る。
アザリア
アザリア山脈の麓の森の近くにある町。人口は500人前後(冒険者は除く)。
町長職は世襲制であり、昔はエルフとの戦争などの際には後方支援基地として使われていたが、ローランの政策転換によって今は最低限の防備だけを残して廃れ始めている町になっている。
ローラン直々の依頼を妨害したとして町長のハモンドは入獄し、ベロウを襲った冒険者は全員斬り捨てられた。
この際のベロウの処置は苛烈に見えるが、公爵であるローランの依頼を妨害し、更にはギルド長であるアイオーンが承認して同行しているレベルの依頼に横入りしようとし、その上罪を逃れての国外逃亡の示唆まで自ら行っていたので、アイオーンが戻って来たら結局処刑されていた。
アザリア駐留隊
エルフの監視と町の防衛を任務とした駐留隊。主に町の出身者で構成されており、人格者であるクエイドに率いられた彼らの士気は高い。
竜砲:追記
様々な形式で放つ事の出来る竜砲だが、その副次的効果として獣などを近付けない、結界の様な効果がある。
これは動物のマーキングに近く、強者の気配をばら撒き、危険を感じさせて近付けないという物だ。
悠はこれを利用してアザリアの町周辺から魔物を追い払った。
ダンジョン(迷宮)
強い力を持った魔物が稀に『迷宮創造』の能力に目覚める事で生成される。
時が経つにつれてダンジョンは大きく、また複雑になっていく。最深部に居る魔物モンスターを討伐しない限り、ダンジョンは消滅する事が無い。
更に、一定期間を経るとその魔物は『魔物創造』の能力に目覚め、ダンジョンはどんどん難攻不落となっていく。
しかし、ギルドでは特にダンジョンの踏破は推奨していない。
理由はダンジョンの魔物は決して外には出て来ないからで、また、優良な狩場であるという利点もあるし、魔物素材を集めるのにも便利だからだ。
それと最深部に居る魔物に殺される冒険者が多過ぎたせいでもある。ダンジョンのボスは基本的にⅦ(セブンス)以上の魔物であり、見返りが大きいせいで狙う者が後を絶たない。
見返りとは単純な宝の場合もあるし、魔道具や力ある武器防具の時もある。少ない例では新たな能力に目覚めたなどという報告もあるが、これは信憑性については不明。
ダンジョンは大体1年で一階層ずつ増えていくと分かっており、出来立てのダンジョンが10階構造である事を加味すればそのダンジョンがいつからその場にあるかを推察出来る。
『迷宮創造』
自らの住処を迷宮化し、周囲の魔物を誘引する能力。時間の経過により、能力は強化され、ダンジョンは巨大化していく。
また、この能力に目覚めた魔物は寿命では死ななくなる。
『魔物創造』
魔物を作り出す能力。ダンジョン内であればどこでも魔物を作り出す事が可能だが、強力な個体を作り出すほど消耗する。また、自分より強い魔物は創造出来ない。
今度は魔法辞典みたいになりました。
次で用語解説は終わりです。




