第三章用語解説1 《登場順1》
第三章初出の用語解説です。
『黒狼』
ミーノスの冒険者ギルドに存在する、不良冒険者集団。50名ほどが所属し、ゴーラン、ガーラン、タムランの3兄弟によって仕切られている。『黒狼騒動』の加害者であり、その罪を持ってメンバーはほぼ全員が処刑された。
冒険者
冒険者とは冒険者ギルドに所属し、ギルドを通して依頼人から依頼を受け、それを達成して金銭を得る職業である。
冒険者は10のランクで表され、Ⅰ(ファースト)からⅩ(テンス)の呼称を用いる。
例え貧しくても成り上がる機会がある為に、貧困な地域、国ほど冒険者を志す者は多い。
その依頼は多岐に渡り、採取、採掘、調査、護衛、討伐、戦争など様々。依頼が適正だと判断されれば何でも依頼として成立しうる。
冒険者ギルド
どの国にも属さない永世中立機関で、ギルドを開く代わりにギルドは国への納税の義務を負う。
原則として人間同士の戦争には介入せず、他種族の侵略に対してのみ戦争に関わる。
その運営はギルド長の権限に委ねられており、その上に存在するギルド組織長は任命、罷免の人事権で各ギルドの運営を健全にする義務を負っている。
ギルドの運営資金は後援者からの寄付や依頼のマージンで賄われているが、その性質上、近年賄賂が横行し、正常なギルドの運営が脅かされている。
魔物討伐
魔物は意思疎通が可能なごく少数を除いては人間にとって害悪であり、冒険者ギルドでは魔物の討伐は常時推奨されている。その為、魔物を討伐した際には証拠となる部位を持ち帰ればそれは冒険者に金銭として還元される。
また、魔物の素材は様々な武器、防具、薬剤、触媒としても珍重されており、冒険者の主な収入源となっている。
ただし、魔物の数、種類は膨大であり、その全てを覚えておくのは困難である為、ベテランはパーティーに一つは『魔物百科』を持っており、買えない者はギルドにある『魔物百科』で近隣の魔物だけを頭に入れて活用している。
『魔物百科』
冒険者達のこれまでの情報を統合して作られた魔物討伐の虎の巻。外見、特徴、弱点
討伐部位などを簡潔に記している、冒険者必携の品。全ての魔物を網羅している訳では無い。
胡椒:追記
お馴染みの香辛料・・・では無い。南の群生諸島で取れる貴重な香辛料で小瓶一つで金貨10枚の価値がある超高級品。悠達の初期の金銭獲得に大いに役に立ち、『黒狼』襲撃の際にもその時間稼ぎに一役買った万能香辛料。
ちなみに、撃退の際に使用した胡椒だけで金貨100枚分ほどの価値があった事を子供たちは知らない。
審査
冒険者になる為には戦闘による試験を受けなくてはならない。これはどの依頼であろうともある程度の戦闘力が必要になるからであり、知識を問う様なペーパーテストは存在しない。その様な知識は冒険者になって自ら身に着ける物だと考えられているからである。
ただ、コロッサスがやった様な、ギルド長本人が審査官を務める事は稀。
訓練場
審査や稽古の為に冒険者ギルドには広い訓練場が設けられている。100×100メートルほどある訓練場には各種刃引きの武器も用意されており、水場なども設置されている。
時報の鐘
アーヴェルカインでは時計は貴重品の為、一般の人々は鐘の音を基準として生活している。
鐘は午前六時に鳴る朝の鐘、正午に鳴る昼の鐘、午後六時になる夜の鐘の三種類で、深夜は鳴らない。また、緊急時には警報に使われることもある。
『ノースハイア流剣術』
ノースハイアで盛んな剣の流派。攻撃型の剣技で、一撃の威力を重んじる。反面、防御に回ると脆い。
ベロウはノースハイア流の上級剣士であり、皆伝までもう一歩といった所。
『重破斬』
剣を上段から振り下ろす、ノースハイア流の奥義の一つ。単なる振り下ろしでは無く、震脚からその重さを余さず剣に伝え、体重、筋力、剣の重さを相手に叩き付ける豪快な技。
溜めがやや大きく、振りも大きいのが欠点であるが、その威力は人間を頭頂から真っ二つに出来るほど強力で防御も困難である。
『朧返し』
コロッサスの得意技。後の先を突き詰めたカウンター技であり、側から見るとまるで相手の武器がすり抜けた様に見える事からそう呼ばれる様になった。
原理としては相手の武器と等速で回転して回避を行い、姿勢を崩している相手にそのまま斬り付ける技であるが、間合い、相手の力量などを読み違えると大参事になりかねない危険な技である。
他の人間には神業に見えてもコロッサスにはまだ不満な点が幾つか残っていて、そろそろ落ち目となる自分には完成させる事は出来ないと思って引退を決意させた技でもある。
しかし、悠によって目を取り戻したコロッサスは前にも増して情熱的に技の完成を目指しており、それが開陳される日も近い。
ギルド長の権限
ギルドの運営はギルド長に託されている事は前述したが、その中には冒険者のランクに介入する物もあった。
しかし近年、金銭によって不正にランクを得る者が続出し、ギルド長の権限は縮小されている。
その為、高いランクの冒険者が高い実力を持つとは限らない。
通常依頼
ランクを満たせば誰でも受ける事が出来る依頼。ギルドの入り口右手の掲示板に張り出されていて、基本的に早い者勝ち。
特殊通常依頼
特定の誰かへの依頼ではなく、不特定の者達を招集する依頼。大きな盗賊の討伐依頼や国からの戦争への参加者の募集、魔物の駆除隊の召集などの、ある程度の数を必要とする依頼。
赤い縁取りがされている事から『赤紙』とも呼ばれている。
通常指名依頼
特定の冒険者を依頼人が指名して行う依頼。ただし、Ⅴ未満のランクの冒険者は対象にはならない。
一端の冒険者の証とも言え、断る事も当然出来るが、心証は悪くなるかもしれない。
通常の依頼より報酬が高い場合が殆どで、守秘義務がある。
特殊指名依頼
ギルドがその重要度が高いと認定し、尚且つ特定の冒険者以外に達成が困難であると判断した指名依頼。
達成すれば、ギルドへの貢献が大としてランクアップも考慮される。報酬も同クラスの通常依頼よりかなり良い条件になるが、当然難しい依頼が多くなる。
また、指名依頼は基本的に内容を他者に漏らしてはならず、それによって依頼人への不利益が生じれば、罰則の対象にもなる。この点は通常指名依頼よりも基準が厳しい。