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神様になる前にもう一つ世界を救って下さい  作者: Gyanbitt
第三章 異世界躍動編
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3-23 修練と成長4

「あっ、お早うございます、ユウさん」


「お早うエリー、ギルド長はもう来ているか?」


ギルドに入るとエリーが目敏く悠を見つけて挨拶をして来たので、悠も挨拶を返して早速ギルド長の所在を尋ねた。


「ええ、いらっしゃってますよ。ユウさん達がいらしたらすぐに伝える様に言付かっています。少々お待ち――」


「いや、来たようだ」


悠とエリーの会話が聞こえたのか、ギルド長であるコロッサスが奥から手を上げてやって来た。


「よう! 説得はどうだった、ユウ? って、こんな所で話せる内容じゃねぇな。とりあえず執務室に――」


そこまで言った時、コロッサスが悠の同行者である子供に気付いた。


「フェルゼニアス公爵家のわ、若様か? いや、若様でございますか?」


「はい、アルト・フェルゼニアスです。今日はユウ先生に鍛えて貰いに来ました」


コロッサスもフェルゼニアス家から指名依頼が来ている事は知っていたが、まさかここにその本人が来るとは思っていなかったので驚いていた。


「これはこれは、良くお出で下さいました。・・・お、おい、ユウ。お前こんな所で若様を鍛えるつもりかよ!?」


「ビリーとミリーもここで鍛える約束でな。丁度いいだろう」


「ぼ、冒険者と貴族を一緒にすんじゃねぇよ!」


小声で怒鳴るコロッサスだったが、特に悠は気にせずに話を先に進めた。


「昨日の詳細に関してはバローに説明して貰う。バロー、ギルド長と行ってくれ。俺は依頼の完了と受領を済ませる」


「あいよ、ほら行こうぜギルド長。そんな事じゃユウとは付き合えねぇぞ?」


「・・・分かった。エリー、ギルドからの指名依頼の完了の手続きをしてくれ。それと新しい指名依頼の受領もな」


「はい、分かりました」


コロッサスは溜息を一つついて気分を切り替えると、エリーに言付けてからベロウと共に執務室へと向かった。悠が付いていかなかったのはアルトを一人には出来ない為で、またアルトを連れてコロッサスに報告出来る内容では無いのでアルトと2人で残ったのだ。


「ではユウさん、アルト様、手続きしますのでカウンターへどうぞ」


「ああ、行くぞアルト」


「はい!」


悠がアルトを呼び捨てにしたのを聞いてエリーは顔が青くなったが、当のアルトがニコニコと了承している風なので何も言う事が出来なかった。


(ユウさんて何者なんだろう・・・これから付き合っていく内に分かるのかな?)


エリーはカウンターの前の椅子に掛ける2人を見ながらそんな事を思ったのだった。








「ではギルドからの指名依頼は完了です。こちらが報酬の金貨10枚です」


そう言ってエリーが金貨を10枚カウンターに置くと、悠は財布代わりの袋に流し込んで懐にしまった。


「それと、アルト様のご指導の依頼も今朝届きました。すぐにお受けするんですよね?」


「ああ、一応依頼内容を確認してもいいか?」


悠がそう言うと、エリーはカウンターの下から2枚の紙を取り出した。


「はい、内容は『5日に一度程度、アルト・フェルゼニアス様への武術指導』となっています。報酬は1回に付き金貨2枚。指導終了毎にお受け取りする権利があります。纏めて後で受け取る事も出来ますよ。こちらの紙にサインをお願いします。・・・でも、凄いですね、普通指導料は銀貨2枚くらいが相場なんですけど、10倍も支払うなんて」


「公爵のご好意と思ってありがたく頂戴しよう。ここの訓練場を使うのは問題無いか?」


「多少問題はありますね・・・残念ですが、防犯上少々難がある事は否定出来ませんから」


黒狼こくろう』の様な冒険者を出してしまった以上、防犯上何の問題も無いと言い切る事はエリーには出来なかった。


「それなら問題無い。その様な輩にアルトに指一本触れさせる気は無い」


「・・・分かりました、ユウさんがそう仰るのなら構いません。でも、気を付けて下さいね?」


悠の強さは多少知っているエリーだったが、それでも心配して注意を促した。


「それにしても・・・今日のギルドはやけに人が少ないが、例の件か?」


「そうです、『黒狼』の捜索と討伐にギルドも大枚を叩きましたから。今回は情報だけでも破格の報酬ですから、大体の冒険者の方が出払っているんです」


危険が少なく報酬もいいとなれば冒険者の食い付きがいいのも頷ける話だった。腕に自信のある者は更なる報酬を手にする可能性もあるのだ。


「ユウさん達は参加されないのですか?」


「俺も出来れば参加したいが、数日中に行かねばならん場所があるからな。捜索に加わる事は出来ない。済まないな」


悠が素直に謝ると、エリーは手を振ってそれを制した。


「いえいえ、強いるつもりは無いんです。でも、ユウさんくらい強い人が居れば討伐も楽になりますから。カウンターで尋ねて頂ければ『黒狼』の情報もお伝え出来ますから、時間のある時にでも気に掛けておいて下さい」


「ああ、所在が分かったのなら時間があれば手伝おう」


「! ありがとうございます!」


悠が出来る限りの協力を約束すると、エリーは花が開いたような笑顔を浮かべた。『黒狼』の問題はそれだけギルドにとっては大きな問題なのだ。


と、そこに慌しくギルドに入って来る2つの影があった。


「す、すいませんユウのアニキ!寝坊しちまいましたっ!」


「ご、ごめんなさい、ユウ兄さん!!」


そこには朝姿が見えないと思っていたビリーとミリーが息を切らせて頭を下げていた。

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