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神様になる前にもう一つ世界を救って下さい  作者: Gyanbitt
第三章 異世界躍動編
137/1111

3-11 最初の一歩11

「あ、ユウさん、バローさん、冒険者証出来ましたよー」


雑然としたギルド内に2人が戻るとエリーが声をかけて来て、それを見た周囲の冒険者のざわめきがますます大きくなった。




「おい、どうする?」


「やめとけよ、お前のパーティーメンバーのランク、最高でもⅣ(フォース)だろ?新人の方が高いんじゃ笑い物だぜ?」


「即戦力間違い無しなんだけどな・・・」




それを見たエリーが2人にそっと耳打ちした。


「お二人を勧誘しようかどうか、迷ってるみたいですよ。特にユウさんは敗れたとはいえ、ギルド長と互角に打ち合ってましたから」


「なんだ、俺はオマケかよ」


ベロウが腐って愚痴をこぼしたが、それをエリーが否定した。


「とんでもない!最近の新人さんでⅤ(フィフス)から始める方なんて久しく無かったらしいですよ?バローさん一人なら今頃引っ張り合いになってますよ。でもユウさんほど強い人なんてそう居ませんから、皆二の足を踏んでいるんだと思います。パーティーの主導権を握られちゃうんじゃないかって」


そういう意味では強さを見せたのはむしろ良かったかもしれなかった。今ユウには誰かの指揮下でのんびり冒険者稼業にのめり込んでいる時間など無かったので。


「しばらくは2人だけでやるつもりだからな」


「荷物持ちの方も居ないのなら、まず『冒険鞄エクスパンション・バッグ』を買った方がいいですよ?安くはありませんが、必ず役に立ちますから」


「『冒険鞄』?」


「錬金術で容量を増やした鞄です。最高級品だと、家一軒分くらいの容量があるとか。冒険者でも中級以上になると、パーティで誰か一人は持つのが普通です。一番安いので金貨20枚くらいはしますが、それでも4、5人分の荷物は収納出来ますからね」


悠はある意味最高級品を越える『虚数拠点イマジナリースペース』を持ってはいるが、巨大過ぎて荷物の運搬にはとても向かない。その事を考えると『冒険鞄』は小回りが利いて便利そうだ。今後の食材の買出しにも役に立つだろう。


「バロー、胡椒はあとどの程度残っている?」


「さっき一瓶使ったから・・・あと5瓶だな。金貨50枚分と見ていいんだよな、コレ?」


その言葉にエリーは目を丸くしながら答えた。


「は、はい・・・でも、ユウさん達って一体・・・」


「おっと、それは詮索してくれるなよ。まぁ、正義の味方って所さ」


「わ、分かりました・・・」


バローの言葉に腑に落ちないものを感じながらも、ギルド長や公爵から信頼を得ている2人を信じようとエリーは自分を納得させた。


「ここで買取を頼みたいが、出来るか?それと、『冒険鞄』も貰いたい。馬車1台分くらいの容量があると助かるな」


悠はさっさと換金してベロウの装備や食材、布などを買い集めようと思っていたので、エリーに尋ねてみると、すぐに返事が来た。


「はい、ユウさん達はⅤの冒険者ですので買い取り額が10%割り増しになります。これ以降、ランクが上がる毎に5%買い取り額が増えますから。逆にここでお買い物をすると10%値引きになります。是非ご利用くださいね?」


そしてエリーは断って少し席を外すと、奥から一つの背中に下げる鞄を持って来た。


「胡椒の中身も確認しました。金貨50枚ですので、55枚になりますね。それで、こちらの鞄が『冒険鞄』です。金貨36枚ですが、10%引きで金貨32枚と銀貨4枚です。よろしいですか?」


「ああ、それで頼む。それと、武器、防具、食料品、衣類なども揃えたいのだが、俺たちはこの街についたばかりで地理に疎くてな。地図などは無いか?それとフェルゼニアス公爵の家も知りたいんだ」


その言葉にエリーはしばし考え込んだ。


「詳細な地図はちょっと・・・フェルゼニアス卿のお屋敷は貴族の方が住む街の一番奥の方にある、赤い屋根のお屋敷です。店舗は街の中心部に密集してますが、そこまで記した地図はありません。よろしければ私がお勧めのお店を書きましょうか?」


「いいのか?」


「ユウさん達はこれ以後もここを活用してくれそうですから、サービスです。私はこの街の出身ですので、それなりに満足頂けると思いますが・・・」


「分かった、ではお願いしよう」


にこっと笑ってエリーはメモ用にとっておいた紙に簡単な地図を描き始めた。


(・・・色街はどこか、なんてこんなお嬢ちゃんには聞けねぇよなぁ・・・)


地図を描くエリーを見ながらベロウはそんな事を考えたのだった。








「では、冒険者証に『冒険鞄』、そして買取りと買い物の差額の金貨22枚と銀貨6枚です。冒険者証も発行には銀貨2枚がかかりますが、今回は良い取引をさせて頂いたので無料にしておきます。・・・というか、最初の胡椒を冒険者割り増しでの買い取りになっていなかったので、その分のサービスとお考え下さい。無くすと再発行には罰則込みで銀貨4枚必要になりますから気を付けて下さいね?」


「ああ、色々世話になった。今後もよろしく頼む。これは手間賃だ」


悠は丁寧な仕事をするエリーを労う意味で、銀貨を1枚テーブルに残して残りを袋にしまった。


「そんな!?多すぎですよ!!」


恐縮して返そうとするエリーをベロウが押し止めた。


「な~に、これからも世話になるんだ。どうせまた色々面倒を掛けるだろうからな。何せ、俺たちはトラブルには事欠かないから・・・迷惑料と思って貰っておいてくれよ」


エリーはじっと悠の目を見たが、そこに下心が欠片も見当たらない事を確認して、首を縦に振った。


「分かりました、お2人の担当は私がやりますから、なんでも聞いて下さいね?」


「ああ、よろしくエリー」


「よろしくな、エリー」


「はい!よろしくお願いします!!」


そうして3人は握手を交わして友好的な関係を築いた後に別れたのだった。








「ちょっとエリー!上手くやったじゃないの」


「え?」


悠とベロウが居なくなってから、隣の受付嬢がエリーに絡んできた。上客と上手く懇意になったエリーを羨む気持ちもある。


「どっちも中々いい男だったもんねぇ~。エリーはどっちが好みなの?」


「私はユウさ・・・って、ちちち違います!!なんでそんな話になるんですか!?」


「え、だって、最後にエリーにお金貢いでたじゃない?あれってそういう意味でしょ?」


その言葉にエリーは首を振った。


「違いますよ・・・たまに、そういう人は居ますけど、ユウさんの目は全然私をどうにかしようって気配がありませんでしたもん・・・ちょっと、逆に自信を無くしてしまいそうです・・・」


「禁欲的ねぇ。私はもう一人のバローさんの方が好みね。遊びなれてそうだったし」


エリーは男女関係は潔癖な方を好むので、バローの軽い雰囲気は親しみ易くはあるが、付き合うには信頼が足りないなと思っていた。それも人それぞれであろう。


(でも、ユウさんか・・・なんだか久しぶりにちゃんとした大人の人って感じだったな・・・またお話出来るかな?)


隣の受付嬢の話を聞き流しながら、エリーはそんな事を考えた。



ーーこうして悠とベロウは、ミーノスにて冒険者としての第一歩を踏み出したのだった。

やっとこれで冒険者になりました。


次の買い物はサクッと省く事にしました。もしかしたら勿体無いので後で閑話にして出すかもですが、サッサとローランのお屋敷に場面を移す事にします。一つ一つを詳細にするとローランの所に行くまでにまた4、5日掛かりそうですから;;

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