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神様になる前にもう一つ世界を救って下さい  作者: Gyanbitt
第二章 異世界出発編
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2-28 ベロウ尋問3

そんな恵と明に、ベロウが思い付いた様に声を掛けた。


「あのよ、そっちの・・・ケイとメイだったか?お前らまだ『能力鑑定アプライザル』がまだだろ?」


その言葉に明と恵が首を捻った。


「なにそれ?」


「いえ、知らないですけど・・・」


「どういう事だ?」


悠がベロウに尋ねると、ベロウが説明を始めた。


「召喚されて来た奴は『能力鑑定』っていう、そいつの能力を見る魔法でどんな能力持ちかを確認するんだ。そして、そいつに合った戦い方を仕込まれる。他の奴らはそれで自分の能力を知ったんだぜ?」


「それは恵や明にもあるのか?」


「100%とは言えねぇけど、召喚で来た奴で無能力だった奴は今まで見た事がねぇな。だからこそ、召喚者は重宝されてるんだよ」


なるほど、ただの子供ばかりではとてもではないが戦力にはならない。召喚にはその様なカラクリがあったのだ。


「じゃあ、めいもてからひをだしたりできるの!?」


「私に何か力があるとは思えないんですけど・・・」


「どんな能力かは分からねぇよ。だから『能力鑑定』なんて事をするんだからな。だが、『能力鑑定』は結構希少な能力でな。ウチの国でも出来る奴は1人だけだった」


「ふむ、そのうち調べてみるか。その時は付いて来てくれ。恵、明」


「はーーーーい!!」


「わ、分かりました。ちょっとドキドキしますね?」


悠はメモに「恵と明の『能力鑑定』」と書き込んだ。


「ここから一番近い街で冒険者の登録が出来る所はどこだ?」


悠の質問にベロウは呆れながら言った。


「そりゃあ、ノースハイアの城下町だよ。でも今はとてもじゃないけどノースハイア国内の街にゃ行けねぇだろ、カンザキさん?」


「ああ、次に行くのは三カ月後だ」


「なら、他の候補だと・・・アライアットはまずいとして、ミーノスかな?南の方にある国で、ここから500キロほど南に進んだ所にある。そこで登録するのがいいんじゃないか?他の国へ行く為の要衝でもあるしな」


500キロなら悠なら普通に飛んでも2時間ちょっとで着ける距離であり、申し分無い。


「ふむ、では治療と回復が終わったら、ミーノスで冒険者登録だな。この屋敷もその近くまで持っていけばいいだろう。最悪、レイラの中でしばらく留守番して貰わねばならんが」


ミーノス周辺が安全とは限らないし、また、要衝というからには人の目も多いだろう。まだこの世界に慣れていない間はなるべく子供達は人目に付かない方がいいと悠は思った。


「恵、食料を逆算して、あとどのくらい持つか分かるか?」


悠は食糧から計算して出発の日取りを割り出そうと恵に尋ねた。


「そうですね・・・今のペースだと、長く見て2週間くらいでしょうか?ただ、栄養のバランスを考えると1週間ですね。それ以上だと野菜が不足します」


恵は頭の中で献立と野菜の量と鮮度を計算して答えた。


「ふむ・・・明日の治療後の俺の竜気プラーナと、その後の回復量を考えて・・・よし、では4日後にここを発つ。それまではここで回復に専念するとしよう」


「分かりました。あと、街に行ったら布もいくつか買って来て欲しいんですが。皆の替えの服も必要ですけど、お店に行く訳には行かないので、私が作ります」


それは悠も全く考え付かない事だった。やはりこの手の家事では恵を全面的に頼る事になりそうだ。


「さすがは恵だな。分かった、いくつか見繕って来よう」


「い、いえ。私はこれくらいしか出来ませんから・・・」


悠の手放しの称賛に恵は顔を赤らめてブンブン手を振った。後ろで樹里亜と神奈が羨ましそうにそれを見ている。


「よし、ある程度情報も集まったな。今日はこのぐらいにして、風呂にでも入って寝るとしよう。恵、葵は持っているか?」


「あ、はい。葵さん、お風呂を沸かして貰えますか?」


《了解しました、ただいまお沸かしします》


「さぁ、みんな、風呂の準備だ!恵、そっちの年少組の面倒は頼んだぞ」


「分かりました、お任せ下さい」


「めいもおにいちゃんとはいる!!」


「ダメよ、明。今日はこっちで入りなさい」


その言葉に明が反論した。


「ゆうおにいちゃん、こんどいっしょにはいるってやくそくしたもん!!」


その言葉に更に恵が言葉を重ねようとしたが、それを悠が止めた。


「明、明日の朝に一緒に入ろう。こっちの男共は明と入るのが恥ずかしいらしい」


「そ、そんなんじゃねーよ!!た、ただ、女とふろに入るなんて・・・」


「ぼ、ぼくはちょっとはずかしいな・・・」


京介も始も結局は恥ずかしいのだった。ようやく男風呂に慣れて来た年頃なのだ。


「な?だから明、明日の朝を楽しみにしていてくれ」


悠は今度入ると約束したのだから、それはちゃんと守ってやらねばならないと思っていた。子供は大人の誤魔化しに、大人が考えているよりも傷付くものだと悠は考えていたからだ。


「う~~~、じゃあやくそくね!!きょうはめい、がまんする!!」


「偉いぞ、明。ちゃんと体を洗えよ?」


「うん!!」


「すいません、悠さん。お手数を掛けてしまって・・・」


「明は何も間違った事は言っていない。このまま真っ直ぐに育って欲しいと思うぞ、俺は」


「ふふふ、なんだかお父さんみたいですね、悠さん。ありがとうございます」


恵はそう言って明の手を引いて女湯へと歩いて行った。女の子達もそれに続いて風呂へと向かう。


「病人組は今日は風呂は無しだ。熱で体力が奪われるからな。明日診察して大丈夫なら入浴を許可する」


「分かりました」


「はーい。早くお風呂入りたいな~」


「はい。またお風呂に入れるとは思いませんでした」


みな重症だったので、風呂に入らなくなって久しい。それだけに明日の診察が待ち遠しかった。


「では俺も京介と始とで風呂に行って来る。ゆっくり休むようにな」


病人組にそう事付けて、男の子達は悠に纏わり付きながら風呂へと歩いて行ったのだった。

恵と明にはどんな能力があるんでしょうかね。


子供の記憶力は馬鹿に出来ません。大人が口先で言った事をいつまでも覚えていたりします。

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