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神様になる前にもう一つ世界を救って下さい  作者: Gyanbitt
第二章 異世界出発編
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2-24 自己紹介3

握手をする二人の手に、もう一つ小さな手が重ねられた。


「めいも!おにいちゃんたちといっしょにがんばる!!」


「ぼくも!」


「わたしも!」


明に続いて子供達の手が次々に二人の手に重ねられていく。


「ふふふ、じゃあ私もね」


「あたしもだ!!」


「えーっと・・・はいっ」


樹里亜、神奈もベットから起き上がって手を重ね、恵もそれに加わって、全員の手が重ねられた。入口に所在なさげに立っているベロウは除く。


悠は智樹に告げた。


「どうだ、今なら何でも出来そうな気がするだろう?智樹」


「はい・・・はい!!」


智樹は泣きながら笑って悠の言葉を肯定した。一人じゃ無いという事が、こんなにも心満たされる事なのだと初めて知ったのだった。








「さて、自己紹介がまだ全然進んで無いな。樹里亜、神奈、智樹、大分腹が減ったんじゃないのか?」


「あ・・・ちょ、ちょっとだけ・・・」


「すきました!!ご飯食べたいです!!!」


「僕も気が抜けたら急に・・・すいません」


せっかく持って来た夕食も、長いやりとりの間に冷めてしまっている。病人に冷たい食物は体に良くないだろうと思い、悠は鍋を持って温め直しに行こうとした。


「俺の話が長くて少し冷めてしまったようだ。温めて来るから、少し待っていてくれるか?」


そう悠が言うと、子供達の内の一人が即座に割って入った。


「おれ、火を出せるよ!ゆうせんせー!!」


その言葉と共に、その男の子の指先に火の光が宿った。


「君は火を使えるのか。では温めて貰おうか。君の名前は?」


悠はその火の上に鍋をかざして温めながら男の子の名前を尋ねた。


「おれは日比谷ひびや 京介きょうすけ七さい!!火のまじゅつが使えるぜ!!」


京介は得意そうに自己紹介も兼ねた挨拶をした。


「じゃあわたしは・・・」


そう言ってとことこと配膳台に近寄って来た女の子がコップを並べてその上に手をかざすと、何も無い手の平から細い水が流れ出て来た。三つのコップに水を注いでから、女の子も自己紹介をした。


「わたしは霧沢きりさわ 朱音あかねです。もうすぐ八さいです。水のまじゅつが使えます」


そして次の男の子を促した。


「え?つぎぼく?えっと・・・緑坂みどりざか はじめです。八さいです・・・えっと・・・つ、土のまじゅつが使えます!んーと、ん~~~・・・あ、こ、こんなかんじです!」


そう言ってスプーンを一つ手に取ってしばし念じると、やがてスプーンが変形していき、一本のナイフが出来上がった。


「おい、それじゃ一人スープを食えないんじゃね?」


「あ、も、戻すね!!」


京介に突っ込まれて慌てて元のスプーンに戻す始を見て、最後に残った女の子が前に出た。


「わたしは~、風間かざま 神楽かぐらです。8さいです。わたしは~、あ、京介君、あっため過ぎじゃない~?」


「え?あっ、やべっ」


自己紹介に集中している間に、いつの間にか鍋が煮立っていたようだ。京介が慌てて火を止めると、神楽はその鍋に手を向けて集中した。すると、手の平から弱い風が起こって鍋を冷まし出した。


「まじゅつは~、この通り、風のまじゅつが使えます~」


「なるほど、京介が火を、朱音が水を、始が土を、神楽が風をそれぞれ操れるのか。ちゃんと覚えたぞ」


悠の言葉に子供達ははしゃいでいる。ヒーローに名前を覚えて貰って嬉しがる子供の微笑ましい反応だった。


「たかなしめいです!ろくさいです!!もうすぐななさいです!!!」


「ああ、明もこれからまたよろしくな」


特に特技は無くとも明は元気一杯だった。


これで年齢一桁組の自己紹介は終わりのようだった。




「次は・・・」


そういう悠に未だにしがみ付いている少女が居る。小雪だ。


「君の名前を教えてくれないか?」


その言葉に、小雪は恐る恐る顔を上げた。もう泣きやんでおり、顔を隠していたのはどうやら皆の前で泣いたのが恥ずかしかったかららしい。


「・・・安西あんざい 小雪こゆきです。11さいです。あの、ごめんなさい・・・」


「気にするな、小雪。君にも何か能力があるのか?」


「は、はい。あの、わたしに向けて何かを投げてみてくれますか?」


奇妙な申し出だったが、魔術などという物は悠の知識には無いので、言われたままに下手で軽く枕を投げてやると、小雪の前でその枕は跳ね返り、悠の手元に戻って来た。


「わたしは結界系で、とくに反射魔術カウンターマジックが使えます。相手の力が余り強いとはね返せませんけど」


「そうか、小雪、よろしくな」


「はい、こちらこそ・・・あと、助けてくれてありがとうございました」


小雪はようやくお礼が言えた事にほっとしていた。


「間に合って良かった。礼には及ばんよ」


悠はもう一度小雪の頭を撫でてそう言ったのだった。

次回、ベロウが大変です。「さよならベロウ君」をお楽しみに。

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