対象《ターゲット》
ちょくちょく書いていくつもりです
とりずあえず引っ越しした部屋の大部分をしめている段ボールのやまを見て、どうしかものかと悩む。
今は四月。この春俺は高校へ通えることになる。
さすが。ここはずいぶんと暖かい。家だとまだ雪つもっていたのを思い出し、来て良かったと思う。
もっとも、そんな感慨深い気持ちをしていてもまだ何も始まっちゃいないと気を引き締め、段ボールの山と向き合い……そのまま回れ右。そのまま横になることにした。
早く手を着けられたなら良かったられたならよかったのに。そんな事言っても結局後の祭りってやつだな。
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「うっしゃああああ!!!かかってこいやあっ!!」
「んだとお!舐めやがって!!」
「野郎、ぶっ殺してやんよ!!」
「上等だオラァ!!」
隣の部屋の主人はこんな罵声はききなれたものだ
ーー本当に?
「テメェら!今日の今日こそはぶっつぶしてやっからなぁ!!!」
「「「「オオオオオ!!!」」」」
ーー否だ。
こんな大勢のものは聞いたことがない。
そう、遂に恐れていたことが起こったのだ。
ーー抗争。
このチーム同士の縄張り争いは苛烈を極めた。怪我人を多数出し続け、それでも各々備わった力、そしてプライドがその戦いをいっそう激しくさせる。
そして早まった奴が、遂には手榴弾、焼夷手榴弾すら持ち出して…
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「なんだい?また出番かい?」
「ええ……」
「ったくもー!せっかく若い人多いトコ来たと思ったのにぃ!何なのよ!最近こういうの多くない!?」
「仕方ありませんよ。若さ故の過ちが過ぎた……ということなのでしょう」
「でもさー……」
「そんな事よりさっさとつないでください!私たちの仕事は魂の巡りを滞りなく行うための監視なんですから…」
「……はぁい、わかりましたよダイちゃん」
ダイちゃんとよばれたその女性はため息を一つつくと、浮き上がって来た光の玉に手を触れる。
古崎璋……
このイメージの中にいる少年はそうよばれているようだ。
引っ越ししたばかりなのか段ボールが積まれており、炎がだんだん燃え広がっていく。部屋の中はすでに地獄と化した。
このような光景も実にありふれたパターンの一つであり、さして驚くことも無かったのだがそこで見つけた彼の姿に目をむく。
「リライア様!」
そう叫ぶと後ろでは、さきほどまではあんなにけだるそうにしていた彼女…リライアが、サッと顔の色を変えていた。そして指示をとばす。
「おい!指令だ!『機関』に伝えろ!『魔力持ち』がいた!そこに『時間停止』と『人払い』の結界!あとは計測班と回収班が対象に向かえ!」
動き出せばいいな……なんて