Transient pleasure 束の間の喜び
今回は比較的早いペースでの更新です。
なんか忙しんでまた空いちゃうかもしれません・・・
それでは前置きはここまでにしておいて。
はじまーりー、はじまーりー
「5年くらい前に俺の母さんが死んじまったんだ。そん時も雨が降っていた気がする。そのあとは俺はどうしたか自分では覚えていない。逃げ出したのかもしれないし…とにかく何も覚えていないんだその直後のことは」
俺が話している間も雨は降り続けていた。雨音が聞こえてくる。雨は俺のいやな記憶しか呼びおこさない。
「そうか一志君は大変だったんだな。私も弟がいるのだがね、生き別れというやつかな。あってから一度も顔を合したことないんだよ」
優介さんは笑って言った。だけどその眼は笑っていなかったあきらめにも似たような眼の色だった。
「次に明確な記憶があるのもまた雨の日だった。ひと月くらいたった後に裏路地で変な男に拾われたんだ。首根っこをつかまれて装甲車に放り込まれた」
俺の話を優介さんは黙って聞いている。
その間も雨の音は続いている。
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装甲車の中は暗かった。
少年はその時、頬はやせ細っており眼だけが野獣のようにギラギラしていた。
少年は直感で感じていた。確実にやばい雰囲気が漂っている。
抵抗したら間違いなく死ぬ。
「そう思ったのならおまえは合格だ。手探りでボタンを探してみな」
天井近くから音がしたどうやらスピーカーがあるようだ。
少年は言われるまま従った。
ボタンを見つけたので少年は押してみた。すると装甲車の中が明るくなった。
それを見たとき少年は恐怖に体を硬直させた
「安心しろ。もう解除してある。お前のような賢い奴は利用価値があるよ」
そう言い終えた後スピーカーから機械合成音の耳障りな笑い声が聞こえてきた。
「そのままじっとしてればよろしいよ。君の仲間たちのところに連れていくから」
そのままブツッという音とともにスピーカーが切れた。
あまりの緊張に気づかなかった。
部屋の片隅に一人の男がいた。歳は自分と同じくらいだ。壁にもたれかかるようにしていた。
「おまえもつれてこられたのか。あんま暴れないほうがいいぞ。でもおまえは賢そうだからダイジョブかもな」
暗がりでよく見えないが彼は少し微笑みながら言った気がする。
「……………状況がよくわからん。なんか教えてくれ」
少年はいまだに自分の置かれた状況が理解できていたかった。
「心得た。だがその前に互いに自己紹介しようじゃないか。俺は真事だ。おまえは?」
そいつは凜とした声と人なっつこそうな笑顔で言った。
「そうか…、真事か。俺は一志、守宮一志だ」
俺は不愛想に返事を返す。人としゃべるのは久しぶりのような気がする。
「さっき、状況って言ったよな。わかることは三つ」
そう言って誠は細くて長い指を三本突きたてた。薄暗い中でもよくわかるくらい肌が白い。
「一つ目は、俺らはおんなじ運命にあること。二つ目は俺らは状況的に色々希望はない。そして三つ目は俺とお前が相棒だってことだ」
三つ目をいうときだけ真事が微笑んだ気がした。
「あ、あいぼうか…」
はじめて言った単語で唇がくすぐったいせいなのか、俺は不思議な気持ちになっていた。
「まぁなんだこれからよろしくな」
そう言って真事は右手を差し出してきた。握手だ。
俺に初めて友と呼べるやつができた時だった。
題名の通りです。
新キャラ登場ですね。
実はこの名前我が友に考えてもらったのです。
この真事君は結構重要人物になるかも(?)
まぁ次回まで待ってりゃわかるよって感じですかねぇ
それではまたいつか!
西院奈良~(=^ー^)ノ