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AKATSUKI   作者: 銀夢 煉志
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Visitor 来訪者

一年半とか()

カツーン、カツーン…

どこからともなく、タイルを叩く特徴的な足音がする。彼はその音を聞き、手元の作業を止めた。この時間帯に、人がいるとは思わなかった。緊急の用事にしても、彼は担当ではないし、第一に急ぎの用事にしては歩調が不気味なほどゆっくりだ。

医師は手元の作業を止めて、診察室の入り口のドアを認めた。近づいてくる足音が止まった。そして、ドアがゆっくりとスライドする。真っ暗な廊下には一人の男が立っていた。医師はその男の姿に見覚えがあった。

「あなたは、確か…… 失礼ですが、このような時間にどのようなような要件でしょうか…? 伝えるべきものは、先ほど伝えたかと」医師は困惑した様子で、入ってきた男にそう告げた。

男はそれを意に介さず、もごもごと何かを喋った。ただ医師にはそれが聞き取れなかった。男はその場から動こうとしない。医師は我慢できず、立ち上がった。「そろそろお暇してもらってもよろしいですか?明日も業務があるので。要件がある場合はまた……」しかし彼が言い終わらないうちに、体制がよろめいた。そのままスッと意識が遠のいてゆく。何かを口走ろうとしたが医師はそのまま病院の無機質な床に崩れ落ちた。男はそれを意に介さずに、倒れている医師をまたぎ診察室の奥にある小さな小部屋へと入った。そしてそこで、幾つもある書類の束からすぐさま特定の一つを抜き出した。中身をパラパラと確認すると、男はそれを脇に抱えた。そして診察室から出ていこうとした時、ふと思い出したように医師を診察台に寝かせておいた。そして部屋の証明を落とした。光と闇の境界線がなくなる。男は境界線が消えた空間を、元の道筋を辿って行った。



―ーーーーーー――ーーー――



「はい、お待ちどおさま」

そう言って、皿いっぱいに盛られた魚介類たちが一志の前に置かれた。これほど豪勢な料理など一度たりとも食べたことがない彼にとっては、食べるのも忘れて料理に見入っていた。

「食べないなら、もらっちゃうよ?」

優奈がいたずらっぽく言うのを聞いて、一志はようやく我に返った。同時に、忘れていた食欲が押し寄せてくる。最近教わった「いただきます」という手を合掌する儀式をして、初めて食べる海鮮に恐る恐る手を伸ばす。その姿を、赤月家の3人がジーっと見つめてくる。「サシミ」と呼ばれる、赤い生魚を口に運ぶ。

驚きで、一瞬静止する。

そして、ものすごい勢いで口に運び一分もないうちに皿いっぱいに盛られた魚達は一志のお腹の中に収まった。

一志の食べっぷりに驚く赤月家の3人。そして、優介が快活に笑い、それにつられてユリも優奈も思わず笑みが溢れる。

空いた皿が回収され、また新しい料理が運ばれてくる。

「遠慮せずに、どんどん食べていいからねー!優介のお財布からでるから!」ユリが優介の方をちらっと見てから、一志に話す。それを受けた、優介はすこし苦笑いをした。



一年半ぶりのくせに、いつもより短い、乙

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