Communication 情報伝達
ずいぶん遅くなりました。(修学旅行前日なう)
じゃあ、すたーと!!!
装置を抜けた後に入った部屋はカラフルに彩られおり、ひときわ目立つベットがあった。そこに、一人の少女がかすかな寝息を立てて寝ていた。
漆黒の髪に、蝋のような白い肌。高めの鼻に、長いまつげ、それとピンク色をした唇。美人、というよりかは「可愛い」という形容詞が当てはまるタイプで西洋人形のようにも見える。ふと一志はとある既視感を感じた。
―――何所かで、昔会ったことがある
しかしそれが何所であるかがまったく思いだせない。そうこうしているうちにその少女が目を覚ました。数回瞬きを繰り返し眠たそうな声で、ママおはようと。そして、視線をずらしパパおはよう。そこから目線が平行移動をし一志にとまった。彼女の顔に「?」マークが浮かぶ。
「だれ?このお兄ちゃん?」
警戒する様子はなく、むしろ興味津々という感じの声でその少女は言った。
「え、えっと、俺は守宮一志だ。よ、よろしく」
なぜか少し緊張して早口になってしまう。そんな一志を見て少女は微笑んだ。両ほほにえくぼができて、とても人懐っこい笑顔だ。
「じゃあ、あたしも自己紹介。あたしの名前は、赤月優奈。今は11歳。よろしくね、いっちゃん!ちなみに何で、家に来ることになったの?」
一志は優奈の思考回路が彼女の母親とそっくりなのに驚いた。どうやら性格は母親譲りみたいだ。
「彼は、とても危ない状態で倒れているのを僕が見つけてね。看病したんだ。だけど身寄りもないみたいだからうちの家族として迎えることにしたんだ」
「ふーん。なるほど、大変なんだね。察した」優介の説明に、うんうんと頷く。そして彼女はユリの補助を受けながらベットを出た。
「優奈は生まれつき身体が悪くてね。私たちは常に優奈の健康に気を使ってるの。そとの大きな装置はそのため。今はちょっと喘息を患ってるわ。よく発作を起こすのよ」
一志はユリの説明を受けながらすこし息を飲んだ。ユリの説明ではなく、優奈にだ。ベットから降りたとたん、彼女の漆黒の髪が見えた。それがとても長いのだ。彼女の体格は華奢で、手足が長めの割に細い。身長は一志の首あたりまでしかない。理由はなぜかわからないが、彼は優奈に対してドキリとした。
「それがねー昔は結構つらくて。でも、もう慣れちゃった」えへへと笑いながら、優奈は一志のほうへ来て、ハグをした。突然のことに一志の思考が一瞬停止。再起動した脳内が状況整理を始める。
…数秒後に状況を理解した一志は顔を真っ赤にしたまま、茫然としていた。
「家というか、この地域ではこういう習慣があってね。初めての人とかには握手かハグであいさつをするんだけど、子供はハグで、大人はどっちもありって感じだね。なんかいっちゃんは東のほうの人みたいだけどあっちにはこういう風習はないんだよね」後半の言葉は、彼女の父に向けられたものだろう。確かに優介は東のほうの人種だ。真黒い髪に、西のほうの人にしては浅黒い肌。どう見ても東の人だ。ユリは金髪や、白い肌から考えて西のほうの人で間違いないだろう。東と西の血を併せ持つ少女… それは一志の目から見ると少し不思議な存在だった。もちろん混血だという理由だけではない。優奈には、なにか言葉にしがたい神秘的な雰囲気がある。優奈の少し黒味がかった、青い瞳が一志を見据えた。
「それじゃあ、あらためてよろしくね。そして、これからのあたしたちの生活がうまくいきますように」優奈はそう言って左の人差し指を唇にあてて、もう片方の手で左手をつかんだ。そして目を閉じる。後から聞いたが、これはこの地に伝わる儀式の一種だそうだ。
そのあと、優奈の部屋に少しとどまった。外にある装置で、家全体の空気を洗浄するためだ。待っている間一志は優奈にいろいろと質問攻めをされたが、なんせ一志には自分の名前以外の記憶はなくなってしまっているため余り会話は進まなかった。その代わりに、優奈達の話を聞くことができた。優奈は生まれつき頭がいい代わりに体が弱かったり、彼女の両親曰く憎めない天然さだったり。優介はとても貧しい家系で育ったことや、ユリの家系では様々な国籍や地方の人種の血が混ざっていることや。とくに興味深かったのが、優介さんの失踪している弟のことだった。彼は冗談半分にそのことを喋っていたが、一志にはわかった。優介が彼の弟に対して怒りや、心配等様々な心情を持っていることだ。彼の弟の名前は、「秀介」というのだと。その秀介は失踪する直前までとある大きな研究所で国家秘密級のプロジェクトをしていたらしい。しかし、そのプロジェクトに向けて完成まで間近という実験の時に機械の誤作動なのか、なんなのか原因は不明だが実験が失敗した。それも最も重要な実験の時に。プロジェクト史上もっとも深刻な被害を出した秀介達は、プロジェクトを断念せざるを得なかった。秀介達のチームが記者会見を終えた数日後、政府の役人たちが研究所に研究内容の回収を行おうとした最中、秀介とS氏と、彼らの研究資料がない事が判明した。二人はプロジェクトのトップだったということもあり、国は血眼に彼らを捜した。S氏は政府に見つかったが、その研究資料の行方は知れなかった。そしてS氏は今、監視下に置かれながら生活しているという。今でも研究資料は秀介が持っている可能性が高いとして政府は引き続き捜査を続けているらしい。
「いつくらいに起こった事件なんですか?」一志が疑問を口にする。
「そうだね… たしか優奈が生まれた少し前だった思うよ」顎鬚を手でさすりながら空中を見つめて彼は答えた。どうやら考え事をするときの癖らしい。
すると、タンタカタン♪という電子メロディがなった。どうやら空気清浄完了のようだ。優奈はパジャマに薄手のカーディガンをはおっている。冬先だというのに寒くないのか不思議になる格好だった。そんな一志の疑問を汲み取ったのかユリが説明を加えた。
「空気清浄のスタートと一緒に暖炉も点火したのよ。それで一階はどこもポカポカしてるはずよ」一志はなるほどという風にうなずいた。
入ったときとは、一人、人が増えた分すこし青い待機空間はせまかった。しばらくするとランプの色が変わり、外に出ていい合図が出た。
結構前と書き方を変えました。無駄な行変更をなくしたんですけど、少し読みにくいですかねー?
ちょっとまだ小説のかたちについては迷走中なのでぶれる可能性があります
とりあえず、次回は何に投稿する変わりませんがよろしくお願いします
では!