表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ムジカ  作者: 由樹
22/29

op.22 隣で笑って

「おはようございます。今こっちの駅で、もうすぐ電車が来ます。あっ、いえいえー元気ですよ。のんびり泊まりましたから。そっちに着くのは三時くらいになると思います。――はい、有り難うございます。また」

 駅のホームで友季子に電話をする。

携帯電話なんて高いものは持てないからもちろん公衆電話からだ。

 少し懐かしい雑踏を背に、彩音は澄んだ空気の方へと帰っていった。


「芳くん、もうすぐ彩音ちゃんが帰ってくるんだよ」

 昨日圍と話した大きな切株の上で、放課後仲むつまじく話す澄海と芳。

「そうか」

 結構長い期間彩音と話していないが、この歌詞のことを伝えようと芳は思う。とても曲に合う、良い詞だ。

「――嬉しい?」

 悪戯っぽく上目使いで微笑む澄海に、

「あぁ」

 と微笑み返す。

 そっかぁ…、と澄海は呟き一瞬顔に影を落とす。

「どうした」

 人の変化に敏感な芳は、心配そうに尋ねる。

「うん――ねぇ、芳くん?」

 ゆっくりと、反らした視線を芳に戻し真剣な顔で言う。

「澄海のこと、どう思う?」

「――え?」

「あっ……。やだやだっ、なんでもないっ。どうしたのかな、澄海…。ごめんね、変なこと言っちゃって。――忘れて?」

 いきなり顔を真っ赤にして、手を無意味に慌ただしく動かす澄海。

 その様子が可愛くて、おかしくて、芳はあははと大きな声で笑った。

「澄海はいい子だ。そう思うよ」

 にっこりと目を細め、とびきり優しい顔で笑う。

 もうだめだぁ……。

「芳くんっ!」

 きゅっと芳の手を握り、

「澄海……澄海、芳くんが大好き。これからもずっと、隣で芳くんの笑顔見ていたいよ」

 カタカタと震えながらも笑顔で、想いを伝えた。




とうとう澄海が芳に告白をしました。もうすぐ彩音、合流です。そろそろ完結でしょうか。

読んでくださっている皆様、本当に有り難うございます。力を頂けています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ